「琉球舞踊は『私を生かしてくれている存在』」
沖縄芸能家/和服着付け師
當間怜奈さん(31歳)
Reina Toma
「まだ2歳だった私自身には記憶がないんですが母いわく、ラジオから沖縄民謡が流れると私が楽しそうに踊り始めたそうで(笑)、3歳から琉舞(りゅうぶ=琉球舞踊)の教室に通わせてくれました。物心ついたころには琉舞の教室に行くのが生活の一部になっていましたが一度もイヤだと思ったことはなく、楽しんで踊ってました」
琉球舞踊を筆頭に、三線(さんしん)と呼ばれる沖縄三味線、同太鼓、さらには琉球箏曲にエイサーまでこなす沖縄芸能家であると同時に、師範免許を持つ和服の着付けのプロでもある怜奈さん(三線と琉球箏曲も教師免許保持者)。取材にもご覧の通りの素敵な和服姿で待ち合わせ場所に登場し、その着付けはもちろん怜奈さん本人によるもの。いうまでもなく沖縄出身で、地元那覇の専門学校でブライダルを専攻し、卒業後はANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー(現・沖縄ハーバービューホテル)に就職した。
「社会人になっても休みの日は相変わらず琉舞漬けの生活を楽しんでいましたが、仕事柄、海外からのお客様も多く、もっと英語を勉強しなきゃと思い、5年ほど働いた後、いったん退社して1カ月だけですがセブ島に語学留学しました」
留学を終えての帰国後は、米軍基地内のレストランでウェイトレスとして働いた。
「ホテル時代以上に英語での接客がほとんどでしたが次第に英語が聞き取れるようになってきてちょっと自信がつき、そうしたらまた海外に行きたいかも?と思うようになり(笑)、27歳の時にワーキング・ホリデイで来豪しました」
2022年8月にシドニーのシーモア・センターで開催された日本関連の大規模なイヴェント「ジャパン・ミュージック・ウェイヴ」に参加し、沖縄の民族衣装をまとい琉球舞踊を演じた際の怜奈さん
現在はシドニーの日本食レストランで働く傍ら、日本関係のイヴェントなどがあると沖縄芸能のパフォーマーとして積極的に参加している。琉球舞踊に関しても怜奈さんの実力はプロ級で、50年以上の歴史を誇る「琉球古典芸能コンクール」でも2016年の第51回開催時に最高賞を受賞している。同コンクールには厳格な規定があり、いきなり最高賞に輝けるわけではなく、まずは新人賞を獲得した後2年の間を空けて優秀賞、さらにそのまた2年後にやっと挑めるのが最高賞だから、技能だけでなく地道な努力も問われる賞であることが分かる。
「沖縄芸能の中では私自身もやはり琉舞が一番好きで、いったん振り付けを覚えてしまうと本番では頭で振り付けを考えることなく身体が勝手に動いている感じで、琉舞は“私を生かしてくれている存在”だと思っています」
「家でじっとしていられないタイプ」と笑いながら自己分析し、沖縄芸能以外にもマラソンが好きで、シドニーで開催される大規模なマラソン大会にはほとんどすべて参加していると言っても過言ではない。食べ物ではシドニーで暮らす中、一番恋しいのが沖縄そばという根っからの沖縄っ子だ。
「着付けは着物一式をお持ちの方には$80で出張着付けを承りますので、新年会などで着物を着たいと思っている方、着物をお持ちでない方もまずは私のインスタグラムのDMでお気軽にお問い合わせください。同様に、私の沖縄芸能とのコラボで何かやりたいというアイディアや提案も大歓迎です!」
●怜奈さんのインスタグラム:017_tsubaki
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