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ザ・ドメインにあるNSW州立美術館の新館がこのほどついに完成、12月3日に正式に開館した。
上空から撮影された新館
148年前の1874年に開館したギリシャ復興様式の旧館正面に向かって左側、正確には北側に隣接して建てられた新館の建築デザインを手がけたのは妹島(せじま)和代さんと西沢立衛(りゅうえ)さんによる日本の建築家ユニットで、アメリカの栄養あるプリツカー賞を筆頭に日本建築学会賞などこれまでにさまざま建築賞を受賞している「SANAA(サナア)」。一般オープンを前に11月29日、メディア・プレヴューが開催され、マイケル・ブランドNSW州立美術館館長、ドミニク・ペロテーNSW州首相、NSW州における先住民族アボリジニ関係大臣、芸術大臣、観光大臣、地方青少年大臣を兼任するベン・フランクリン大臣、そして日本から来豪参加のSANAAの2人がスピーチした。
新館の建築デザインを手がけた西沢立衛さん(左)と妹島和代さんによる建築家ユニット「SANAA(サナア)」
ほぼ半世紀前の1973年にオープンした世界遺産シドニー・オペラ・ハウス以来の一大プロジェクトとしてNSW州政府による2億4,400万ドルの予算に加え個人からも1億ドルが寄付され完成した新館は、旧館同様、正面玄関がある地上階から展示フロアが下へ続く造りだが、旧館と異なり新館は正面玄関を含み地上階の壁面がほぼすべて総ガラス張りで、シンプルながらとてもエレガントなデザインと明るい内部が印象的。
新館正面玄関
新館プロジェクトに携わった日本人はSANAAだけでなく、地上階から出られるテラスには新館のために草間彌生さんが新たに制作した巨大なオブジェが置かれているほか、地下1階には村上隆さんが2019年から2020年にかけてNSW州立美術館で開催された大規模な特別展「ジャパン・スーパーナチュラル」のために手がけた大型の絵画作品も展示されるなど、日本が世界に誇る現代アーティスト2人の作品が常設展示作品の目玉となっている点も特徴。
新館のプロジェクトのために草間彌生さんが手がけた巨大なオブジェが置かれた地上階テラス
左下の地下1階部分の壁に村上隆さん作の大型絵画が展示されているのが見える
一番下の地下4階部分は第二次世界大戦中オイル・タンクとして使われていたことからその名も「タンク」と名付けられ、高い天井といくつもある支柱がまるで古代文明の地下神殿内部のような神秘的な雰囲気を醸し出し、新館オープンに当たってアルゼンチンのアーティスト、アドリアン・ビジャール・ロハスによるこちらもとても神秘的な大型インスタレイションの特別展「ジ・エンド・オブ・イマジネイション」が開催中(※入場無料だが事前のオンライン予約が必要)。
地下4階(タンク)で開催中のアドリアン・ビジャール・ロハスの特別展「ジ・エンド・オブ・イマジネイション」(※入場無料だが事前のオンライン予約要)
NSW州立美術館の新館では2023年1月13日より毎週金曜11amとこちらも毎週日曜1pmに同美術館専属の日本人ヴォランティア・ガイドによる日本語無料ツアーが開催されることになっていて、開始時間前までに集合場所である新館入り口前に行けば誰でも事前予約なしに参加できる。
Art Gallery of NSW
●所在地:Art Gallery Rd., Sydney(セント・ジェイムズ駅から徒歩10分) ●開館時間(イースター・フライデイと12月25日クリスマス・デイを除き休館日なしで毎日開館):10am-5pm(水は10pmまで) ●料金:無料 ●新館日本語無料ツアー:1月13日より毎週金曜11amと毎週日曜1pm開催(参加希望者は開始時間前に新館正面玄関に集合) ℡: (02)9225-1700 artgallery.nsw.gov.au
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