オスマン帝国の栄華に魅せられた音楽家たち

オーストラリアン・ブランデンブルク・オーケストラ
定期演奏会「オスマン・バロック」開催中(10/31まで)

 バロック音楽専門の室内楽団オーストラリアン・ブランデンブルク・オーケストラ(ABO)が現在、定期演奏会「オスマン・バロック」をシティのシティ・リサイタル・ホール・エンジェル・プレイスで開催中です。

メヴレヴィー教団の神秘的な旋回舞踊も堪能させてくれます
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 コンサート・タイトルにある通り、今回は演奏だけでなく、かつて栄華を極めたオスマン帝国の庇護を受けたイスラム神秘主義メヴレヴィー教団の信者たちによる、長いスカートをひるがえしながら踊る姿が世界的に有名な旋回舞踊を披露してくれるのが最大の話題となっています。オスマン帝国は1453年にコンスタンティノープル(現イスタンブル)を陥落させて東ローマ帝国を滅ぼして以来、20世紀初めの帝政廃止まで実に5世紀以上、強大な覇権を誇り、欧州列強にとっては東方の“野蛮人”であると同時に脅威でもあり、毛嫌いされながらも音楽を含む文化面でトルコ趣味を取り入れたものが生まれたりと、ヨーロッパ人にとってエキゾティックな魅力も併せ持つ存在だったといえるでしょう。

 フランスのリュリやマレー、イタリアのボッケリーニやアレグリに、ドイツのテレマンなどのバロック時代の音楽家たちがトルコをイメージして作曲した作品をはじめ、トルコやギリシャの伝統的な楽器を用いての音楽と舞踊を盛り込んだ一夜で観客を魅了してくれます。

 記者自身、昨日オープニング・ナイトに足を運びましたが、今回ABOの公演はいつもとはかなり違っていて、まず舞台上手(右)に、まるでTVのトーク番組のセットのような椅子や小道具が置かれ、1曲ごとにアラン・マドックスのナレイションによる解説があり、観客をルイ14世時代のフランスからドイツ、イタリア、スペイン、ギリシャ、そしてオスマン帝国へと誘い、演奏だけでなく舞台2階部分も使っての荘厳な聖歌やフラメンコ風衣装をまとった女性カスタネット奏者、男女6人のダンサーによるギリシャの民族舞踊など、視覚的にも存分に楽しませてくれました。中でもメブレヴィー教団の旋回舞踊はとにかくひたすらくるくると回り続ける姿が圧巻で、普段クラシック・コンサートにはあまり興味がない人にもぜひともおすすめしたい公演です。

Australian Brandenburg Orchestra: Ottoman Baroque – info

●会場:シティ・リサイタル・ホール・エンジェル・プレイス(City Recital Hall Angel Place)●日程:10月24日(金)、25日(土)、29日(水)、31日(金)●開演:全日程7pm、25日(土)のみマチネ2pm公演もあり ●料金:*大人/プレミアム席$160、A席$133、B席$106、C席$68 *コンセッション(学生/30歳未満)/A席$54、B席$44、C席$31 *コンセッション(シニア・カード保持者)/A席$111(マチネのみ割引あり)、B席$99(マチネのみ割引あり) *コンセッション(年金受給者/失業者)/A席$80(マチネのみ割引あり)、B席$68、C席$42 ●予約:*シティ・リサイタル・ホール・ボックス・オフィス/☎ (02)8256-2222 www.brandenburg.com.au