1年に及んだ改装工事を経て再オープンの無料博物館「ブレット・ホワイトリー・スタジオ」

【※今回の「ブレット・ホワイトリー・スタジオ」取材YouTube動画はこちら!】

 20世紀後半のオーストラリア芸術を代表するアーティストのひとり、シドニー出身のブレット・ホワイトリー(1939~1992)が53歳という若さにして他界するまでの最後の5年間をアトリエ兼住居として過ごした建物で、彼の死後はNSW州立美術館運営の下、無料博物館として一般公開されていたサリー・ヒルズの「ブレット・ホワイトリー・スタジオ」が1年に及んだ改装工事を経て7月25日、再オープンした。

建物入り口右側にある2本のマッチ棒をモチーフにしたオブジェもブレット・ホワイトリーの有名な彫刻作品「オールモスト・ワンス」の小型版

現ブレット・ホワイトリー・スタジオ内部にて1986年に撮影されたブレット・ホワイトリー(Photo © Gerrit Fokkema)

 ブレット・ホワイトリーは日本での知名度こそイマイチだが、オーストラリア国内はもちろんアメリカやイギリスなど海外でもその才能を高く評価されており、2017年にはドキュメンタリー映画「ホワイトリー」も劇場公開されたほど。かつてロンドンやNYで暮らしたこともあり、ボブ・ディランやジャニス・ジョップリンなどと親交があったことでも知られ、こちらもイギリスの有名なロック・バンド、ダイアー・ストレイツの1984年の2枚組ライヴ・アルバム「アルケミィ~ダイアー・ストレイツ・ライヴ」のアルバム・カヴァーにホワイトリーの絵画作品「アルケミー」の一部が使用されたほどで、当然ダイアー・ストレイツのメンバーたちとも親しく付き合っていた。全豪芸術界で最も栄誉ある3つの賞、アーチボルド賞、ウィン賞、スルマン賞を生涯で6度も受賞、うち1978年は現在に至るまで“3賞同時に単一のアーティストが受賞した唯一の年”という快挙も成し遂げている。

 ギャラリーには彼の最も有名な、18枚の木製パネルを繋ぎ合わせた縦2メートル、横幅の全長は16メートルにも及ぶ前述の大型絵画作品「アルケミー」も展示。“錬金術”という意味の同作品、左端に描かれている太陽の爆発は、ホワイトリーが本作の制作に取りかかる2年前の1970年に命を落とした三島由紀夫の事件からインスピレイションを受けたものだという。全長16メートルもある作品のため、ブレット・ホワイトリー・スタジオでは2面の壁を使って展示されている。 

「アルケミー」(© Wendy Whiteley, image © Art Gallery of New South Wales)

「アルケミー」も展示された地上階ギャラリー・スペイス(Photo © Art Gallery of New South Wales, Anna Kučera)

ブレット・ホワイトリーのさまざまな作品が展示された地上階ギャラリー・スペイス(Photo © Cieran Murphy Photography)

 元Tシャツ工場だったという3階建てのブレット・ホワイトリー・スタジオは地上階がギャラリー・スペイス、そして彼自身のアトリエ兼居住空間だった上階もほぼそのままの形で一般公開、特にアトリエは絵具が飛び散った床など、まるでホワイトリーが今もそこで創作活動を行なっているかのようなリアルさ。ほかにも彼が使っていたテレビやステレオ、集めていたレコードにCD、本、彼が身に着けていたサングラスやアクセサリーといった貴重な私物の数々も多数展示されていて、彼の暮らしぶりやファッションの好みなどもうかがい知ることができる。 

上階に生前のまま残されたブレット・ホワイトリーのアトリエ(© Wendy Whiteley, Photo © Cieran Murphy Photography)

上階のブレット・ホワイトリーの居住空間(Photo © Cieran Murphy Photography)

【※今回の「ブレット・ホワイトリー・スタジオ」取材YouTube動画はこちら!】

Brett Whiteley Studio – info
 
●2 Raper St, Surry Hills(路面電車ライトレイルのサリー・ヒルズ停留所から徒歩3分/シティのハイド・パーク南東の角から徒歩15分/シティからのバスは304番) ●開館時間:木~日10am-4pm ●料金:無料 ℡: (02)9225-1881 artgallery.nsw.gov.au/visit/brett-whiteley-studio 

【ジャパラリア公式YouTubeチャンネル最新投稿】
●シドニー探訪:ブレット・ホワイトリー・スタジオ
●シドニー・レストラン取材:ナカノ・ダーリング
●シドニー・レストラン取材:東
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