「輝く女性たち」:陶絵付け&デキャール(ポーセラーツ)講師の渡辺恵理子さん

生徒さんが描きたい絵柄やイメージを尊重して
フレキシブルに教えるよう心がけています

陶絵付け&デキャール(ポーセラーツ)講師
(「シドニー・ポーセレン・アート・クラブ」主宰)
渡辺恵理子さん(62歳)
Eriko Watanabe

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「習い事って先生の流派ややり方に生徒さんが合わせなきゃいけないという感覚が一般的ですが、アートの分野では一人ひとりの感性や好みは異なりますから、私はそれぞれの生徒さんが描きたい絵柄やイメージを尊重して、フレキシブルに教えてあげるよう心がけています。陶絵付けのクラシックなヨーロッパ調の絵柄に興味がない人は、和柄や、現代風のポップなデザインも描けますので気軽に始めていただければ嬉しいです」

 シティからバス一本で25分のトップ・ライド・ショッピング・センター敷地内の自宅ユニットで陶絵付けとデキャール(ポーセラーツ)の教室「シドニー・ポーセレン・アート・クラブ」を開講する恵理子さん。父方も母方も陶器製造業者という家に生まれ、結婚・出産を経て次男が幼稚園に入ったことをきっかけに東京の原宿陶画舎で陶絵付けを7年間みっちり学び、そのまま同校講師となり1クラス最高20人という規模を5〜6クラス担当したヴェテラン講師だ。コロナ前までは年に一度東京に西洋陶磁器の本場マイセンからドイツ人講師を招いて開講されるプロ向けのワークショップも欠かさず受講していた。世界で通用する陶絵付け資格IPAT公認マスター・アーティスト及びマスター・ティーチャーでもある。

マイセンの19世紀後半から続く人気のシリーズ「自然主義」の絵柄を絵付けする恵理子さん
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「既に食器として完成しているツルツルの白い器に専用の絵の具と筆を使って絵を描き電気窯で焼き上げる陶絵付けは、焼く前なら何度失敗しても拭き取って新たに描き直せるのが便利なところです。絵の描き方や構図に一定の決まり事があるので絵の素養がない方でも問題なく習得できますし、芸術的センスが必須というわけではないんです」

 それでも不安な人のために、既に絵柄が印刷されたさまざまなパターンの転写紙を陶器の好きな部分に貼ってこちらも焼き上げるデキャール、いわゆるポーセラーツのクラスも恵理子さんは開講していて、「ポーセラーツから始めて絵付けに移行される方もいますし、そのままポーセラーツだけを続けるのももちろん生徒さんの自由です」と恵理子さん。

和柄もマスターしている恵理子さんの指導の下、和柄が描きたい人にも対応
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 陶絵付けを最初に習い始めて今年で27年、正式な認定講師になってからも既に20年が経つ中、今後の目標も見えてきたという。

「2年前に還暦を迎え、最近ちょっと焦ってきました。というのも絵付けは細かい作業ですので加齢などによって手が震えるようになったら引退するしかありません。ですので最近は誰かに継承してほしい、一人でも多くの方に次世代の講師になってもらいたいと考えるようになりました。絵付け講師になるためには専用の電気窯が必需品ですが、日本だと20万円くらい、オーストラリアではもう少し高いですがセカンドハンドの窯もありますし、決して逆立ちしても手が出ない初期投資ではないと思います」

 興味がある人は3時間でひとつの作品を完成させる単発チャレンジ・レッスンが材料費込み$100なのでぜひ(※継続して受講する場合$50のキャッシュバックが受けられ2度目の受講費から差し引かれる)。恵理子さんが焼いてくれた完成作品を後日受け取りに行く必要があるが、「その際に私からしつこく継続をすすめられると思ってか、結局作品を取りに来ない方が結構いらっしゃるんですが、勧誘は一切しませんのでご安心ください(笑)。継続される際のレッスンも基本は1回3時間$75ですが(別途材料費)、2時間しか受講できない方は$50、通う頻度も毎週でなくとも月に一度や3カ月に一度という方もいらっしゃいますよ」

Sydney Porcelain Art Club

●5 Pope St., Ryde(Top Ryde Shopping Center敷内)☎(02)9800-9801/ 0415-309-577 ■受講日時は相談可(ウェブサイトより問い合わせを) sydney-porcelain-art-club.com

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