「留学相談は自分の過去のすべてを
生かせる『天職』だと確信しました」
坂本知嘉さん
留学コンシェルジュ
Chika Sakamoto
「大学卒業後はワーホリでオーストラリアに行こうと思ってたんですが、親から『ちょっと待ちなさい。とりあえず就職して、せめて1年でも働いてからにしない』と言われ、就職する気なんてないと答えると『1社でいいから応募しなさい。そこに落ちたらもう好きにしていいから!』となり、大学の就職相談の担当者に会いに行き、何社かあった中で私が『飲むのが好きだからアサヒビールでいいじゃん』と言ったら『馬鹿にしてんの!?』と怒られ(笑)」
留学コンシェルジュとしてシドニーを拠点に12年目という知嘉(ちか)さん。常に明るくフレンドリーな対応、そしてとことん真剣に相談者の世話をする真摯な仕事ぶりからシドニーの留学業界で絶大な人気と信頼を集めている第一人者のひとりだ。
話を知嘉さんの就活に戻そう。知嘉さんは本当にアサヒビール1社だけに応募し、見事採用試験に合格、正社員として入社した。
「でもとにかくやる気がなくて、最初に配属される部署の希望を聞かれた際、普通だったら広報とかマーケティングとか華やかな部署を希望するものなのに、私は“仕事がラクそう”という点だけで受付を強く希望したんです(笑)。受付に配属されたものの3〜4カ月で人員削減のため受付は派遣社員を雇うことになり、私は営業推進部に、その後、最終的にはマーケティングに配属され、あれほどやる気がなかったのが仕事が楽しくて楽しくてしょうがなくなり、結局10年勤めました」
愛社精神も芽生え、海外市場にも力を入れている同社にさらに貢献できるようになるためにも英語力は必須だと思い、1年休職してまずは観光ヴィザで来豪した。
「ここでもナメてたと思うんですが、『英語なんて3カ月でなんとかなるんじゃん?』と。もちろんどうにもならず(笑)、学生ヴィザに切り替えて本腰入れて英語を勉強しました」
アサヒビールは正社員に対して最大5年まで休職を認めているが同じ部署に復職できるのは休職期間が1年以内の場合のみ。そんな時、知嘉さん自身が語学学校を選ぶ際にお世話になったシドニーの留学情報センターから正式にビジネス・ヴィザを出すからうちで働かないかと持ちかけられた。
「即答で断りました(笑)。教育業界興味ないし、私はマーケターなんですと。でもアサヒの先輩に相談したら『アサヒの国際部とか外資に行きたいんだったら海外で働いた経歴もあった方が断然有利だよ』と言われ、また、断ったにもかかわらず2度3度と声をかけてもらい、じゃあ1年働いて帰国しようと思ったのがまんまとハマってしまいました(笑)」
ハマった理由はというと…?
「アサヒにいた当時、消費者からのありがとうという声はそこで働いている私たちには届かなかったんですが、留学相談に乗ってあげた人から『知嘉さんのおかげで人生変わりました!』と言われた時の喜びといったら(笑)。留学業界って相談に来てくれるのは圧倒的に大学生や20代の若い社会人が多く、私はそこを経験してきた。頭がいいわけではなく得意なことがあるわけでもない。失敗や壁にぶつかったこともいっぱいあった。『分かる! 私もそうだったよ』と心から共感できて、自分の過去のすべてを生かせるのが留学コンシェルジュなんだと思え、『これが私の天職だったんだ!』と確信しました」
昨年のロックダウンの際、大勢の日本人学生やワーホリがあたふたと帰国したが、シドニーに残る選択をした人も多く、ロックダウンが解除された後、残った若者は留学・ワーホリ史上かつてなかった人出不足によりバイトは選び放題という恩恵を受けているという。知嘉さんは相談に来る人からは一切相談料を取らず、相談者が入学した学校からの紹介料が収入源なので、コロナ以来収入は激減したが、Zoomやインスタグラムを使って昨年4月から週に2回はオンライン・セミナーを開催し、既に100回以上を数える。
「日本にいる子たちの留学したいという熱意をどうキープし続けるかが今の私の役目だと思います。今の世の中 “ドリーム・キラー”が、それもごく身近にいたりします。親や親しい友人に『留学なんてあなたにできるはずないじゃない』『今さら留学なんかしてどうするの?』と言われて自信喪失してしまっている子たちが少なくありません。そういう子たちに、本当にやろうと思えば何だってできるし、自分を信じて羽ばたいてみなさいよと言いたいです。留学はゴールではなくあくまで通過点で、ゴールはもっと先にあります。そこに向かうために留学を最大限に生かしてほしいと思って相談に乗っています」
●知嘉さんの公式サイト:pankymotty.com(ブログあり) ☎ 0403-871-350(SMSのみ受付) E-mail: chika.sakamoto.is@gmail.com インスタグラム:panky_motty
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