生身の人間がヒーローとして活躍するアクション映画の元祖「マッドマックス」

posterマッドマックス

Mad Max

(1979年作/88分/R/アクション)

監督:ジョージ・ミラー
出演:メル・ギブソン/ヒュー・キース・バーン/スティーヴ・ビズレー/ロジャー・ワード

(※以下、文中の紫色の太字タイトルをクリックすると該当作品の本コーナーでの紹介記事へとジャンプします)

 ジョージ・ミラー監督とメル・ギブソン(「危険な年」「誓い」「ティム」)の大出世作としてその後シリーズ化されただけでなく、現在に至るまで世界的にも最も知名度の高いオーストラリア映画のひとつ。なんといってもジョージ・ミラー監督にとっては劇場映画監督デビュー作、メル・ギブソンにとっても本格的な劇場映画初主演作にして大当たりとなり、同年度オーストラリア・アカデミー(AFI)賞(現AACTA賞)では作品、監督、助演男優(暴走族のリーダー役ヒュー・キース・バーン)など8部門で候補となり、作曲、音響、編集、スタント賞の4部門受賞に輝いた。ギブソンは本作では主演男優賞候補にならなかったものの、本作と同じ79年の別の映画「ティム」で豪アカデミー主演男優賞を受賞、デビュー早々、弱冠23歳にして演技力も認められたことになる。撮影は全編メルボルンが州都であるヴィクトリア州で行われ、35万ドルという低予算作品でありながら最終的には全世界で1億ドルの興収を弾き出した。

正義感溢れる警官マックスを演じ世界的に大ブレイクを果たしたメル・ギブソン
1

“近未来の荒廃したオーストラリア”が舞台という設定で、なるほど、その雰囲気は十分あるが、都市部からちょっと車を走らせれば21世紀の今現在でも40年以上前の本作公開時からほとんど変わりない田舎町がオーストラリアには存在するので、ある意味それも驚きである。

仕事ぶりはクールなマックスも家では妻ジェシー(ジョアン・サミュエル)と一人息子を心から愛し
2

 ストーリーは我が物顔で凶悪事件を起こし人々の生活を脅かす暴走族と、それを追う特殊警察という“善”と“悪”の対立を描いた分かりやすい展開ではあるものの、スーパーマンなどのアメリカン・コミックやSFではなく生身の人間が悪を退治するヒーローとして活躍するアクション映画としては元祖的な存在でもあり、その後多くの映画に影響を与えた。ヒーローである警察官マックス役をギブソンが射止めたのは、オーディションの前日、派手な喧嘩をしておそらく殴られた痕が顔に残り服もボロボロの状態でオーディションに望んだのをミラー監督が気に入ったからだという。デビュー間もないギブソンの本作での演技は、冷静かつ客観的に観直すとアクション・ヒーローとしてはややぎこちなく感じられる部分もあり、本作撮影当時、まだシドニーの国立演劇大学で演技を学んでいた22歳という実年齢を踏まえると、ギブソンよりもう少し上の年齢の俳優を起用してもよかったのではないかと思えなくもないが、「マッドマックス2」(81)、同3作目「マッドマックス/サンダードーム(Mad Max Beyond Thunderdome)」(85)まで3シリーズ連続で立派にマックス役をこなしハリウッドでの地位を不動のものにしたから、ミラー監督の手腕もさることながら、ギブソンあっての大ヒットでもだったのだろう。

 マックスの同僚で親友の警官グース役のスティーヴ・ビズレーも、どちらかというとクールなマックスとは正反対の荒っぽい性格だが好印象で、マックスとグースの上司である隊長フィフィ役のロジャー・ワードはスキンヘッドにゴート髭をたくわえ筋骨隆々、本作の登場人物の中で唯一アメコミに出てきそうな外見と部下思いの言動が印象的だ。

特殊警察の同僚警官で親友同士のマックス(メル・ギブソン:左)とグース(スティーヴ・ビズレー)
3

マックスとグースの上司である隊長フィフィ(ロジャー・ワード:手前)
4

 対する暴走族のリーダー、トーカッター役のヒュー・キース・バーンも存在感があり、冷酷な悪役になりきっている。バーンは本作から実に36年後に公開されたシリーズ4作目「マッドマックス 怒りのデス・ロード(Mad Max: Fury Road)」(15)でも全く別の役柄だが悪のリーダーに起用された。

暴走族のリーダー、トーカッター役で豪アカデミー助演男優賞候補となったヒュー・キース・バーン
5

 本作の見せ場であるカー・チェイスのアクション・シーンもふんだんに盛り込まれていて、一方で目を覆いたくなるような残酷なシーンはほとんどないので(全くないわけではないが画面から目をそらさず直視できる範囲)、オーストラリア映画を知る上で一度はぜひ観ておきたい傑作だ。

迫力のアクション・シーンもふんだんに盛り込まれている
6

Story

 近未来の荒廃したオーストラリアでは、暴走族が人々の生活を脅かしていた。警官を殺害し、奪ったパトカーで逃走中の凶悪犯ナイトライダーは、暴走族専門の特殊警察の警官マックス(メル・ギブソン)によって追い詰められ、ハンドルを切りそこなって事故死する。ナイトライダーの友人で暴走族のリーダー、トーカッター(ヒュー・キース・バーン)は特殊警察に復讐を誓い…。

「マッドマックス」予告編

「オージー映画でカウチ・ポテト」トップに戻るoz_movie_top