「自分らしさを失わない強さを常に持ち続けていたい」
コグラン千夏さん(53歳)
CCNAサーヴィス&リポーティング・アドミニストレイター
Chinatsu Coghlan
「夫が2007年にビジネス・パートナーと起ち上げたIT会社を手伝ってほしいと言われた時、最初は断ったんですが、私はシドニーの外資系金融会社で12年働いた後に辞めて、まだ次の仕事を探していなかった時期でもあり、本当に軽い気持ちで夫の会社のアドミンを引き受けたつもりが、今ではがっつりフルでやらされています(笑)」
オージーの夫がビジネス・パートナーと共同社長を務めるIT会社CCNA(Converged Communication Network Applications)で2010年よりサーヴィス&リポーティング・アドミニストレイターとして働く千夏さん。もともと営業職だった夫が次々に新規顧客を獲得、現在では同社の顧客は政府機関、大手銀行、大学、大病院などそうそうたるもので、シドニーだけでなくメルボルン、ブリスベン、パースにも支社を構え、抱えるスタッフも40人近くに増えた。それぞれの顧客のITシステムを構築し、状況と要望に応じてカスタマイズ、オペレイションもサポートしている。
「顧客からITシステムの変更を依頼されたりシステム・エラーの報告をまず受けるのが私で、一番適したエンジニアを手配するのが私の仕事です。顧客によってシステム内容が異なり、CCNAのエンジニアもITスキルは全員同じではないので、私が考えて作ったエンジニアの“スキル・シート”とにらめっこしながら日々格闘しています(笑)」
小中高と体育の成績は常に5だったというスポーツ万能の千夏さん、地元千葉の中学時代は関東大会にも出場した強豪バレーボール部に所属、日本女子体育大学卒というのもなるほどと思われたが…。
「大学は本当は私立の国文科に行きたかったんですが、受験した大学、全部落ちちゃったんです(笑)。さあどうしようと青くなっていたところ、高校の担任から日本女子体育大の二次募集があるぞって話を聞いて、あわてて受験して受かったという次第です」
大学で保健体育科の教諭免許を取得し、卒業と同時に千葉にある私立女子高の教師となり、1年目からいきなり50人のクラスの担任に。
「私立の女子高といってもお嬢様校ではなくヤンキーが多い学校で(笑)、高3の生徒たちに囲まれて『先公だからって偉そうにすんじゃねえよ!』ってこともありましたが、卒業式ではその子たちが『いろいろあったけど先生いい人だったよ』って言ってくれて、ツッパってても根は素直ないい子たちなんだと分かり嬉しかったです」
教師として2年勤めた後、退職し、ワーキング・ホリデイで来豪するきっかけとなったのは、同じ女子高で働いていたオーストラリア人の英会話教師だったという。
「職員室で話す程度の仲でしたが、『千夏はオーストラリアに合うし、きっとオーストラリアが好きになる』ってすすめてくれて、いざワーホリで来豪して職探しする時のためにと私の英文履歴書だけでなく英語の自己紹介文まで書いてくれたんです」
夫となるオージー男性と知り合ったのはワーホリ生活を終え、カナダでも暮らした後、やはり再度オーストラリアに住みたいと学生ヴィザで再来豪、もうすぐ30に手が届こうとしていた時。彼は大学を出て社会人1年目、千夏さんの7歳下だった。
「私のヴィザが切れそうになっていたから彼に『結婚しないなら私は日本へ帰るしかないし、そうします』と言ったら泣きながら『分かったよ、結婚するよ』と言ってくれて、もうほとんど脅しですね(笑)。付き合って1年で結婚しました。彼はまだ23歳だったし、もっと独身生活を満喫できただろうにと思うとちょっと気の毒ですが」
33歳で出産した当時は外資系金融会社勤務だった。チーム・リーダーだったこともあり責任も重く、育児と仕事の両立は大変だった。
「夜8時に退社して、家に帰るのは9時、それから夕飯、お風呂で10時11時という毎日で、夫とも『よく乗り切れたよね』と当時を振り返って懐かしむことがあります。ただ、仕事自体はやりがいがあり、チーム・リーダーとして研修を受けコーチング・スキルを学ばせてもらったりしたことは私の財産になっていますし、今の仕事にも役立っています」
一人娘も二十歳の大学生となり、「夫婦喧嘩は毎日」と笑いながらも一家3人仲良く楽しく暮らしている。
「夫は“同志”みたいな存在です。ちょっとしたお手伝い気分で始めた今の仕事ですが、今はこの会社の成長を一緒に見届けたいと思っています。私が常に意識しているのは“ブレないこと”。特にコロナで全世界が変わった今、それぞれの状況で自分らしさを失わない強さを常に持ち続けていたいです」
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