男女6人“丸1年”物語「ストレンジ・プラネット」

OzFilm「ストレンジ・プラネット」

Strange Planet

(オーストラリア1999年公開、日本未公開/96分/MA15+/ロマンティック・コメディ)

監督:エマ・ケイト・クローガン
出演:クローディア・カーヴァン/ナオミ・ワッツ/トム・ロング/ヒューゴ・ウィーヴィング

(※以下、文中の紫色の太字タイトルをクリックすると該当作品の本コーナーでの紹介記事へとジャンプします)

 14歳の時に家族とともにオーストラリアに移住した英国出身のオスカー候補女優ナオミ・ワッツ(「ケリー・ザ・ギャング」「ブライズ・オブ・クライスト」)がデイヴィッド・リンチ監督の「マルホランド・ドライブ」(01)でハリウッド・ブレイクを果たす2年前に、そしてもう一人、「プリシラ」(94)で主要ドラァグ・クイーン・キャラの一人を演じて脚光を浴びたヒューゴ・ウィーヴィング(「虹蛇と眠る女」「リトル・フィッシュ」)が「マトリックス」と同じ99年に出演したロマンティック・コメディ。本国オーストラリアでの劇場公開の後、同年アルゼンチンのマール・デル・プラタ国際映画祭並びにスウェーデンのストックホルム国際映画祭公式参加作品としても上映され、両映画祭において作品賞にノミネイトされた(※ストックホルム映画祭では本作がノミネイトされたブロンズ・ホース賞が作品賞に相当)。

仲良しのフラットメイト3人(左からアリス・ガーナー、クローディア・カーヴァン、ナオミ・ワッツ)
1

 ワッツ演じるアリスを含みフラットをシェアする仲良しの女友達3人と、共同名義で法律事務所を構える男友達3人という若い男女2つに分かれたグループの、大晦日から次の年の大晦日に至るまでの1年間を描いたストーリーだが、この2グループの接点は1年の間に偶然、それもほんの少しあるだけでそこから恋が芽生えることもなく、つまり3対3の恋愛映画というわけではないところがポイント。6人それぞれフィーチャーされるが映画の一番最初に名前がクレジットされるトップ・ビリングを飾るクローディア・カーヴァン(「ペイパーバック・ヒーロー」「月に願いを」)が女性グループの、トム・ロング(「トゥー・ハンズ 銃弾のY字路」)が男性グループのそれぞれの主人公といえるだろうか。ヒューゴ・ウィーヴィングは男性グループ3人の一人ではなく、かといって単なる脇役というわけでもなくそれなりに重要な役どころで出演。ちなみにカーヴァンは当時から現在に至るまで実に30年近くの長きにわたり全豪TVドラマ界の高視聴率クイーンの座に君臨し続けており、映画よりTVでの活躍の方が目立つが本作のように劇場映画にも出演、本作でのウィーヴィングのほかハリウッドで成功を収める前のヒュー・ジャックマンやガイ・ピアースなどそうそうたる顔ぶれの男優と共演している(ジャックマンとは「ペイパーバック・ヒーロー」で、ピアースとは「月に願いを」で共演)。一方、トム・ロングも映画の出演作品は少ないもののカーヴァン同様TVドラマを中心に順調に俳優活動を続けていたが、2012年に多発性骨髄腫を発症して以来、長期療養中で、2018年に余命宣告を受けたことを機に渡米して名医の下で本格的に病気と闘う姿勢に、オーストラリア中が彼が病を克服して俳優として復帰することを祈っている。

共同名義で法律事務所を構える3人(左からフェリックス・ウィリアムソン、トム・ロング、アーロン・ジェフリー)
2

 大晦日に始まり1月、2月…と各月を順を追って短編映画のように描写しながら進む展開は、2人の男女の20代から30代までを描いたメグ・ライアンの初期の代表作「恋人たちの予感(When Harry Met Sally…)」(89)を思い起こさせる部分もあり、実際、本作の冒頭にメグ・ライアンの名前がセリフとして出てくるくらいだから、本作の脚本も手がけた女性監督エマ・ケイト・クローガンは「恋人たちの予感」を少なからず意識したのもかもしれない。一人ひとりの登場人物たちの恋愛観を交えつつも、女同士、男同士の友情を主軸に据えた本作は、小気味良いストーリー展開に加え、男女6人が6人ともそれぞれ性格は全く異なりながら全員魅力的なため、最後まであっという間に引っ張られる。

ジュディ(クローディア・カーヴァン)は自分から妻子持ちのスティーヴン(ヒューゴ・ウィーヴィング)をランチに誘い…
3

 また、ロマンティック・コメディといっても、実は本作の中でまともに“恋愛”するのはカーヴァン演じるジュディだけ、しかも彼女が恋に落ちるのは男性3人グループの一人ではなくウィーヴィング演じる妻子持ちの男性。では残りの5人は何をしているのかというと、アリス(ワッツ)は2年前に一方的に彼氏に捨てられて以来、恋に臆病になっていたりと、それぞれが恋愛に関して何かしらの問題を抱えているという設定なのだ。

左からナオミ・ワッツ、クローディア・カーヴァン、アリス・ガーナー
4

ユアン役のトム・ロング(左)と、本作では妻に捨てられ泣いてばかりのジョエル役だが正統派のイケメン男優としてオージー女性たちに大人気のアーロン・ジェフリー
5

 キャンパス・シーンはシドニー大学でといった具合に全編シドニーで撮影され、随所に出てくる馴染みのある風景に加え、世界的にヒットしたダンス・ナンバーの数々も散りばめられ、全体的に華やかな印象が強い。大晦日に始まった男女6人の物語は、翌年の大晦日にどういう結末を迎えるのか、6人それぞれに幸せをつかむことができるのかは、ラスト10分の展開にご注目。

【あり得ないシーン】最初の大晦日の夜のシーンで主要キャラの女性グループ3人が海辺にいると夜空に花火が打ち上げられる。この3人以外、周囲には誰もいないが、シドニーの大晦日、花火が見える海辺は一年で最も大勢の群衆で賑わうので、この設定は映画ならでは。

【シーンに見るオージー・ライフスタイル】4月のシーンでアリス(ナオミ・ワッツ)がジュディ(クローディア・カーヴァン)の部屋に持ってくるチョコレート菓子はヌテラなどでお馴染みのイタリアのブランド、フェレロのフェレロ・ロシェで、オーストラリアではどの大衆スーパーでも売られているほど人気。

Story

 ジュディ(クローディア・カーヴァン)、アリス(ナオミ・ワッツ)、サリー(アリス・ガーナー)の3人はフラットメイト。ロック・スターでジャンキーの父親を持つジュディは父を憎みつつも、いつも父と同じくらい年上で妻子持ちの男性とばかり不倫している。女性ラジオDJのアシスタントの職を得た矢先、やはりそのDJの夫スティーヴン(ヒューゴ・ウィーヴィング)に自分から接近。身持ちの堅いアリスと奔放なサリー、そして不倫専門のジュディの3人は全然違うタイプだが大の仲良し。ユアン(トム・ロング)、ジョエル(アーロン・ジェフリー)、ニール(フェリックス・ウィリアムソン)の3人は大学の法学部時代からの友人で卒業後、共同名義で法律事務所を設立。手当たり次第にいろんな女性と関係を持つユアン、ある日突然妻に捨てられて落ち込むばかりのジョエル、彼女が欲しくてたまらないくせにアガリ症のニールの3人も、性格は異なるが仕事仲間としてだけでなく男同士の固い友情で結ばれている。男女6人、それぞれが幸せをつかむ日はくるのか…?

「ストレンジ・プラネット」予告編

「オージー映画でカウチ・ポテト」トップに戻る
oz_movie_top