「オージーたちに『日本に行ってみたい』
と思ってもらえるよう日本の歌を歌い続けたい」
チャイルド・ケア・センター勤務/シンガー(QP☆Honey)
垂水由起さん
Yuki Tarumi
第17回「カガジョ会」に
QP☆Honey
トーク・ゲスト参加&特別パフォーマンス決定!
「歌手になりたくていろんなオーディション番組を受けまくり、『ASAYAN』にも応募して1次2次…と進んだんですが、結局モー娘。にはなれませんでした(笑)」
シドニーのチャイルド・ケア・センターで働く一方、加藤久恵さんとのデュオ「QP☆Honey(QPハニー)」としてさまざまなイヴェントで歌を披露する由起さん。東京出身で、幼いころからピアノと声楽を習い、人前で歌ったり踊ったりするのが大好きで東京ディズニーランドやつくば科学万博、「NHKのど自慢」(優勝)などにも出演/パフォーマンス経歴があり、セミプロ社交ダンス・バンドのヴォーカリストとしても関東一帯で活躍。学業もおろそかにせず、高校・大学は日本の一流音楽大学のひとつ国立(くにたち)音大。音大を出ても音楽で食べていくのは難しいという両親の助言を受け入れ大学では音楽教育学を専攻したおかげで、卒業と同時に幼稚園教諭の免許を取得、都内の幼稚園に3年勤めました。学歴は立派なお嬢様風ですが、本人は「全然お嬢様じゃないですよ。仕事はやんちゃな子供たちを両腕に抱えたりという“肉体労働”ですから」と屈託なく笑います。
「幼稚園は夏休みが丸々1カ月あるのが嬉しく、毎年海外を旅行していましたが、『1カ月じゃ足りない!』と思うようになり(笑)、一応3年働いたし、2000年に仕事を辞めてワーホリでオーストラリアへ来ました」
シドニーでもチャイルド・ケアの学校に通ってサティフィケイトを取得、フルタイムの現職を見つけ、さらにはビジネス・ヴィザのスポンサーになってもらって更新を繰り返し今年で11年になります。音大卒でちゃんとピアノが弾けて子供たちに歌を教えることができ、かつ日本で3年の幼稚園教諭歴あってこそです。同時に、やはりシドニーでも震災復興支援イヴェントなどで歌を歌うという音楽活動を続けていましたが…。
「ジャズや洋楽なども学び、ローカルのバーなどでも歌わせてもらったことがありますが、英語の歌では発音の壁にずっと悩まされてきました」
そんな由起さんの転機となったのはアニソン(※日本のアニメ・ソング)でした。
加藤久恵さん(右)とのコンビで2年前に結成したQP☆Honey
「私、アニソンも好きなんです(笑)。オーストラリアでも日本のアニメは大人気で、日本祭りなどがあると大勢のオージーたちがコスプレ参加します。一度、そんなイヴェントでアニソンのど自慢を観たら、みんなコスプレはバッチリなのに、日本語だから歌詞が支離滅裂。ふと、『私もなにも無理矢理英語で歌わなくてもいいのでは?』と。でもひとりでコスプレはさすがに恥ずかしい(笑)。そんな時、久恵ちゃんと知り合って偶然彼女もアニソンが好きなことが分かり話が盛り上がり、カラオケに行って一緒に歌ったら、彼女のハモリがすごいんです!これだ、二人でだったらコスプレしてアニソンが披露できる!そう思い、久恵ちゃんとQP☆Honeyを結成しました。6月で結成2年になります」
QP☆Honeyとしてさまざまなイヴェントに出演するだけでなくソロ活動も続けており、今年1月にはサッカーAFCアジアカップ・オーストラリア期間中、NSW州ハンター・ヴァレーで行われた日本VSオークランド親善試合の開幕式で日本の国歌斉唱パフォーマー募集に応募、見事選ばれました。
今年1月のAFCアジアカップ期間中、日本VSオークランドの親善試合開幕式で日本の国歌を斉唱する由起さん
「『君が代』は日本人でもほとんど歌う機会がない上に1オクターヴの幅があり、いざ練習したらすごく難しいんです。それと、マイクがあるとはいえア・カペラで、しかもスタジアムで歌ったことはなかったので、受かってから毎日、家の近くのグラウンドに行って練習しました(笑)。日本だと親善試合でも有名歌手が国家を斉唱するようで、日本選手団関係者の人に『あなたプロの歌手なんでしょうね?ちゃんと歌ってくれなきゃ困りますよ』と言われ、チケットもソールド・アウトでものすごい数の観客が来ると聞かされ、前日は心臓もバクバクで、緊張しすぎて涙が出てくるほどでしたが(笑)、いざ当日は、とにかくいい歌を披露したいという思いで落ち着いて歌えました。先の関係者の人も、わざわざお礼を言いにきてくれたほどで、嬉しかったです。いつかミュージカルの舞台に立つ夢を捨てずにこれからも歌とダンスに励み、オージーたちに『日本に行ってみたい』と思ってもらえるよう日本の歌を歌い続けたいと思います」
そんな由起さん、「男運が悪いんですよね(笑)」とのことで結婚歴はまだなし。「なので彼氏募集中です!(笑)」
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