19世紀フランス芸術の巨匠たちの素描画101点を集めた特別展「ダヴィッドからセザンヌまで」が2010年9月22日から12月5日まで、ザ・ドメインのNSW州立美術館で開催されます。一般公開に先駆けて9月20日、マスコミ関係者向けのプレヴューが行われました。
本誌を代表しての参加は、埼玉大学の准教授で、たまたまNZへの出張の帰りにシドニーを訪れていた渋谷百代さん(国際コミュニケイション学専門)
大作「メデューズ号の筏」で名高いテオドール・ジェリコー(1791〜1824)が1817年に実際に起こった「フュアルデス殺人事件」を題材に描いた素描画
プレヴューは「午前11時から午後1時の間のお好きな時間に来てください」という形式でしたので、混み合うことなくゆったりと観賞することができましたが、一般公開の2日前ということもあり各作品の下につけるはずの解説書が間に合わず、なので気になる作品は、会場に居合わせた同美術館広報担当者に「これは誰の作品?」と聞いたりも
19世紀は、特にフランスで、ほかのどの国よりも数多くの優れた芸術家が生まれた興味深い世紀でもあります。ダヴィッド、アングル、ドラクロワ、ジェリコー、ミレー、ドーミエ、マネ、ドガ、ルドン、モロー、スーラ、セザンヌ…といった具合に、その数もさることながら、全員が後世に広くその名を残す卓越した才能の持ち主ばかりであるという点も特筆に値します。それだけ芸術が発展したのは、決して19世紀フランスの国自体が安定していたからというわけではなく、むしろフランス革命直後の混乱状態は依然続いており、ボナパルト家(ナポレオン1世と3世)、ブルボン家(ルイ18世とシャルル10世)、オルレアン家(ルイ・フィリップ)の3王家が、共和制と交互に入れ替わった激動の時代でした。19世紀フランスの芸術作品は、なのでそういった時代背景を踏まえて観賞するとさらに興味深いでしょう。前述の画家全員の素描作品を、パリのコレクションより借り受けて開催する、オーストラリア初公開の展覧会です。
David to Cezanne: Master Drawings from the Prat Collection, Paris – info
●会場:NSW州立美術館(Art Gallery of New South Wales, Art Gallery Rd., The Domain)●期間:2010年9月22日(水)〜12月5日(日) ●開館時間:毎日10AM〜5PM(水曜は9PMまで/休館日なし)●料金:大人$10、コンセッション$8、ファミリー(大人2人と子供3人まで)$28 ☎ 1800-679-278 www.artgallery.nsw.gov.au