「輝く女性たち」:産婦人科医の桜井理沙子さん

オーストラリアという第二の舞台で出会いが繋いだ産婦人科医の道

桜井理沙子さん
産婦人科医
Dr. Risako Sakurai

「赤ちゃんが生まれる瞬間は、何度立ち会っても特別です。そして、思春期から妊娠・出産、更年期、閉経後まで、一人の女性の人生に長くかかわれることが、この仕事の何よりの魅力です」

 日豪両国で産婦人科専門医資格を持つ理沙子さんは、現在メルボルンの公立病院イースタン・ヘルスと私立のクリンデン・アヴェニュー・スペシャリスト・クリニックにて外来診療に加え腹腔鏡手術などの婦人科手術にも従事している。

「海外で生活していると、体調を崩した時に『日本語で相談できたら安心なのに』と感じることがあると思います。そんな時に気軽に相談できる存在として、日本人女性のお役に立てればと思っています」

 医師を志したきっかけは、高校時代の恩師の言葉と、医師を目指していた親友の存在だった。

「一般サラリーマン家庭だったので、受験の数カ月前に医学部に決めた時は、両親はとても驚いていました(笑)」

 父親の仕事の都合で10〜13歳をオーストラリアで過ごした経験や、医学部在学中のアメリカ留学を通じて、漠然と「いつか海外で働いてみたい」という思いを抱いていた。しかし、医学部での忙しい日々の中で、その思いは現実味のないものだった。産婦人科医という進路を決めたのは、医学部5年生の臨床実習だった。

「一般内科や外科など幅広い診療科を経験した後、最後に回ったのが産婦人科でした。初めて出産に立ち会った時の感動は今でも忘れられません。その瞬間、この道に進もうと決めました」

 卒業後は約10年間、日本で産婦人科医として研鑽を積み、医学博士号も取得。その間に結婚した夫はオーストラリアで医師として働いており、それぞれのキャリアを築くために日豪での遠距離生活が続いた。大きな転機となったのは、2020年のコロナ禍だった。

「国境が閉じ、いつ会えるかも分からない状況の中で、急遽オーストラリアへ移住することを決めました」

 日本で順調にキャリアを築いていた中での大きな決断。渡航直前までヴィザは下りず、ようやくの入国後には2週間のホテル隔離も経験した。オーストラリアで生活し始めてから、以前から抱いていた「海外で医師として働く」という思いが募ってきた。ただ、その再出発は決して容易なものではなかった。日本の専門医資格や東京の大学病院の助教として働いていた経験は通用せず、試験や審査を受け直す必要があった。実績を作るためには病院見学が必要だが、コロナ禍でその機会すら限られ、面接依頼メイルを送っても返事がこない日々が続いた。そんな中、偶然出会った現地在住日本人を通して医療関係者と繋がり、チャンスが広がった。ようやく採用が決まったのはメルボルンにある歴史ある大病院だった。しかし夫はシドニー勤務で、再び別居生活が始まる。さらにロックダウンの影響で、簡単には会えない日々が続いた。

「最初はジュニア・ドクターとしてのスタートでした。慣れない環境と英語の中で信頼を築いていく必要があり、最初の数カ月は本当にもどかしく、苦しい日々でした」

 それでも少しずつ経験を重ね、約3年半かけてオーストラリアの産婦人科専門医資格を取得した。時間はかかったが、ようやくオーストラリアで産婦人科医としてのキャリアを築き始めることができた。私生活では、今年4月、第一子となる女の子を出産し母となった。

「産婦人科は妊娠・出産だけでなく、月経トラブルや子宮筋腫、子宮内膜症、更年期、閉経後まで、女性の一生に寄り添う診療科です。妊娠・出産を経験したことで、医師としてだけでなく母親としての視点も加わりました。患者さんに、より近い気持ちで寄り添えるようになったと感じています」

 好きな言葉は「一期一会」

「ここまで来られたのは、自分一人の力ではありません。恩師や親友との出会い、留学経験、産婦人科医として多くの学びを与えてくれた患者さん、人生を共に歩む夫、そしてオーストラリアで繋がった多くのご縁。振り返ると、すべての節目に人との出会いがありました。これからも一つひとつの出会いを大切にしながら、一人の女性として、母として、そして産婦人科医として、女性の人生に寄り添い続けていきたいと思っています」

Dr. Risako Sakurai

※診察料金は対面・オンラインともにGPの紹介状取得の下、初診$300(メディケア払戻額 $86.15)、再診は$150(同$43.35)
●Clynden Avenue Specialist Clinic, 43 Clynden Ave., Malvern East VIC 3145 ℡: (03)9599-2788 ■月〜金9am-5pm(完全予約制) 公式サイト:drrisako.com/home-jp インスタグラム:aus_sanfujinka_drrisako

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