大御所ハリウッド・スター、カーク・ダグラスが一人二役で出演(映画「スノーリバー/輝く大地の果てに」)

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スノーリバー輝く大地の果てに

原題:The Man from Snowy River

監督:ジョージ・T・ミラー
出演:トム・バーリンソン/シグリッド・ソーントン/カーク・ダグラス/ジャック・トンプソン

(オーストラリア1982年公開、日本1989年ヴィデオ・ソフト化/1時間42分/PG/ドラマ/オーストラリアではDVDのみだが、日本ではApple TVとGoogleプレイで観賞可能!

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 若い世代にはもうマイケル・ダグラスの実父、あるいはマイケル・ダグラスの妻であるキャサリン・ゼタ・ジョーンの義理の父と説明してもピンとこないかもしれないが、往年のハリウッド映画界の大スター、カーク・ダグラス(1916〜2020)を主要キャラのひとりとしてアメリカから招き、19世紀後半のオーストラリアの雄大な大自然を舞台に描かれる1982年のドラマ映画。後年「ネバーエンディング・ストーリー 第2章(The NeverEnding Story II: The Next Chapter)」(1990)などを手がけハリウッドにも進出したスコットランド出身のオージー監督ジョージ・T・ミラー(※「マッドマックス」シリーズのジョージ・ミラー監督とは別人!)の下、全編メルボルンが州都であるヴィクトリア州で撮影され、全豪映画界で最も権威ある第24回オーストラリア映画協会(AFI)賞(現オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞)では音響、撮影賞など3部門にノミネイトされ作曲賞を受賞、米ゴールデン・グローブ賞では最優秀外国映画賞にノミネイト、さらにカナダのモントリオール映画祭ではモースト・ポピュラー・フィルム賞を受賞するなど海外でも高く評価された。

劇場映画デビュー作にして主演を務めたトム・バーリンソンと、相手役のシグリッド・ソーントン

カーク・ダグラスが町の名士ハリソン(写真)と、山奥で一人暮らすスパーの兄弟を一人二役で演じる(左はハリソンの亡き妻の姉妹ローズマリー役のロレイン・ベイリィ)

ジムの父親の親友でジムのことも可愛がるスパー(カーク・ダグラス)

 日本を含む海外で最も知名度の高いオーストラリア映画というと、もっぱら「マッドマックス」(1979)と「クロコダイルダンディー」(1986)の2本にほぼ限定されるが、オーストラリアの“非公式国歌”として知られる「ワルチング・マチルダ」の作詞家で現在の10豪ドル紙幣に肖像が使われている、オーストラリアを代表する詩人バンジョー・パターソン(1864〜1941)の同名の詩を基にした本作は、オーストラリア国内では老若男女問わず“国民的映画”とも呼べる位置づけで、オージーたちが誇る名作として愛され続けている。20年近く後に開催された2000年シドニー五輪開幕式でも本作のメイン・テーマが式典で使われる音楽に盛り込まれていたほど。本作から6年後の1988年には続編「遥かなるスノーリバー(The Man from Snowy River II)」も製作・公開され、本作同様、続編でもトム・バーリンソンとシグリッド・ソーントンが主役を務めた。

身分違いと知りながらも互いに引かれ合っていくジムとジェシカ

 ケイト・ブランシェットやメル・ギブソンを排出した名門・国立演劇学院(NIDAの頭文字からナイダと呼ばれ、大卒と同じ学位を取得できる)出身で舞台、そしてテレビドラマで経験を積んだ20代半ば当時のトム・バーリンソン(「ウインドライダー」「ファーラップ」)が主人公ジム役に抜擢され、本作が彼にとっての劇場映画デビュー作となった。バーリンソンは繊細でいて炎のような情熱を内に秘めた青年ジム役を好演。唯一、物語の冒頭直後、自分の目の前で大木の下敷きになった父が命を落とすシーンで息絶えた父の遺体から目をそらし、立ち上がりざま大空に向かって「ノ〜ッ!」と絶叫するシーンは失礼だがテレビのコメディ・スケッチによくあるギャグに見えてしまってその点だけ残念。

繊細でいて炎のような情熱を内に秘めた青年ジム役を好演するトム・バーリンソン

 脇を固めるのも実力派ぞろいで、中でもカーク・ダグラスは映画の中盤以降になって明らかにされる確執を引きずり長年疎遠になった兄弟、ひとりは成功し富を手に入れた町の名士ハリソン、もうひとりは若いころから金鉱を掘り当てることを夢見ていまだ掘り当てられず、人里離れた山奥の粗末な小屋で一人暮らす男やもめスパーの一人二役を、3度のオスカー主演男優賞候補歴を持つ世界的大スターの確かな演技力で難なくこなしている。また、ブルース・ベレスフォード監督の映画「英雄モラント傷だらけの戦士」(1980)でカンヌ映画祭助演男優賞を受賞したジャック・トンプソン(「人生は上々だ!」「サンデイトゥーファーアウェイ」※ほか彼が出演したオージー映画一覧はこの画面一番下に掲載!)も重要な役どころで登場。さらにジムと恋に落ちるハリソンの一人娘ジェシカ役のシグリッド・ソーントンは、エクボまで若いころのハリウッド女優エリザベス・マクガヴァンそっくりの容姿に加え、こちらも安定した演技力で単にしとやかなお嬢様ではなく勝気で独立心旺盛なジェシカを魅力的に演じている。

ハリソン(カーク・ダグラス)は一人娘ジェシカ(シグリッド・ソーントン)とジムが付き合うことを禁じるが…

ハリソン(カーク・ダグラス:左)の屋敷で丁重にもてなされるクランシー(ジャック・トンプソン)

 そのほかの出演者では、ジェイソン・ドノヴァンの実父テレンス・ドノヴァン(「英雄モラント傷だらけの戦士」)が主人公ジムの父親役で、そしてジムと同じくハリソンの下で働くイヤな若者カーリー役でクリス・ヘイウッド(「キスオアキル」「最も危険な悪女」※ほか彼が出演したオージー映画一覧はこの画面一番下に掲載!)が出演。また、本作の原作者であるバンジョー・パターソンのキャラクターもハリソンの友人として登場し、パターソン役はデイヴィッド・ブラッドショウが演じている。

ジム(トム・バーリンソン)は貧しいながらも父(テレンス・ドノヴァン)の牧場を手伝い親子仲良く暮らしていたが…

ジムの同僚で性格の悪いカーリィ(クリス・ヘイウッド)

デイヴィッド・ブラッドショウ演じるバンジョー・パターソンのキャラクター(左)も登場(右はハリソン役のカーク・ダグラス)

 疾駆する野生の馬の群れを描いた迫力のシーンや大自然の描写、本作でAFI賞作曲賞を受賞したサウンドトラックの数々も素晴らしく、19世紀後半のオーストラリア開拓時代を支えた男たちのロマンと、そこで芽生える若い男女のロマンスを楽しませてくれる。“国民的映画”でありながら、なぜか2026年現段階でオーストラリア国内ではDVDでしか観られないが(※日本ではApple TVとGoogleプレイで観賞可)、DVD化に際しオリジナル映像をデジタル・リマスターにより鮮やかによみがえらせ、音声も5.1に加えより高度なDTS化されたものも選択できるようになっており、40年以上前の映画でありながら、今観ても迫力満点の映像とサウンドを堪能させてくれる。オーストラリア各地の図書館では書籍だけでなくDVDも無料レンタルできるところも多いから、オーストラリア在住の人はぜひ最寄りの図書館で本作を探して一度は観賞されたし。

疾駆する野生の馬の群れを描いた迫力のシーン

【シーンに見る当時のオージーライフスタイル】スパー(カーク・ダグラス)が普段食べていて客人にも振る舞う彼の“名物料理”はワラビー・シチュー、そう、カンガルー科で、カンガルーより小型のワラビーのシチューである。当時から、そして現代でもカンガルーやワラビーは食用としても市場に出回っており(カンガルーの方が一般的)、現代では食用としては禁止されているウォンバットもこの映画の設定と同じ開拓時代には普通に食されていた。

STORY
 1888年、開拓時代のオーストラリア。スノーウィ川が流れるニュー・サウス・ウェールズ州とヴィクトリア州の州境にあるスノーウィ山脈地帯。母亡き後、父ヘンリー(テレンス・ドノヴァン)の牧場を手伝って生活している青年ジム(トム・バーリンソン)は、ヘンリーの親友で金鉱を掘り当てる夢を持ち続ける中年独身男スパー(カーク・ダグラス)からも可愛がられ、貧しいながらも幸せに暮らしていたが、ある日、ヘンリーが大木の下敷きになり亡くなってしまう。父の牧場の相続権を主張するにはまとまった金を集めなければならず、差し当たってジムは山のふもとの町の有力者ハリソン(カーク・ダグラス)の下で働き始める。ハリソンには美しい一人娘ジェシカ(シグリッド・ソーントン)がいて、身分違いと知りつつも二人は次第に心引かれるが…。

●ジャックトンプソン出演のその他のオージー映画:「ハイ・グラウンド」「華麗なるギャツビー」「オーストラリア」「人生は上々だ!「スノーリバー/輝く大地の果てに」英雄モラント/傷だらけの戦士」「サンデイ・トゥー・ファー・アウェイ
クリスヘイウッド出演のその他のオージー映画:「ジンダバイン」「キス・オア・キル」「シャイン」「ミュリエルの結婚」「最も危険な悪女「スノーリバー/輝く大地の果てに」英雄モラント/傷だらけの戦士

「スノーリバー/輝く大地の果てに」予告編

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