日本の伝統工芸「組子細工」をオーストラリアに広めたい

 日本人でも日本家屋についての知識がないとあまり聞き慣れない伝統工芸「組子(くみこ)細工」の職人さんがオーストラリアにいるという噂を聞きつけ、電話取材に応じてもらった。

fukuda自身の作品の脇に立つ福田さん

 メルボルン在住の組子細工職人・福田衛次朗さん(47)は日本ではプロの大工として自身の工務店も構えていた経歴の持ち主。31歳でオーストラリアに移住後は自身のビジネス「ナゴミ・デザイン(nagomidesign.com.au)」を起ち上げ和室に関係する商品やインテリア商品を販売している。主な業務内容は日本から商品を輸入してインテリア・デザイナーやビルダーに販売することだが近年、海外でも組子細工の需要が高まり組子を制作する日本の職人や業者は現在、世界中から引っ張りだこで注文が難しくなってきたこと、コロナ以来、輸送コストも高騰し、日本から輸入すると非常に高額になってしまったことを受け、もっと手軽にオーストラリアで組子を広めたいと自ら組子細工職人として一から修行を積んだ。

1福田さんが作成した組子細工

 組子細工の歴史は飛鳥時代にさかのぼり、釘を使わずに木を幾何学的な文様に組み付けたもの。細くひき割いた木に溝・穴・ホゾ加工を施しカンナやノコギリ、ノミなどで調節しながら一本一本組み付けする日本の道具を駆使した繊細な伝統木工技術だ。主に欄間や障子として用いられるが、1ミリの半分の単位で模様を合わせるという非常に手の込んだもので、プロの組子職人でも一から木を削って作業する場合、30センチ四方の組子を作るのに2〜3日はかかるという。

「日本の衣食住のうち、まず衣は早くから多くの日本人ファッション・デザイナーが海外進出を果たし世界的な地位を確立しています。続く食も今やオーストラリア人の間でも日本食や日本酒がすっかり浸透し、残るは住だけです(笑)。衣食と異なり一般的なオージーが和のテイストを住空間に取り入れるのは難しい面もありますが、どうやって取り入れていけばいいかという提案を通して今後もっとオーストラリアに広めていきたいと思っています」と福田さん。

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