イケメン・オンリーの同窓会「シークレット・メンズ・ビジネス」

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※2021年7月18日更新

シークレット・メンズ・ビジネス
(2時間ドラマ)

Secret Men’s Business

(オーストラリア1999年TV放映、日本未公開/96分/M15+/ドラマ/DVDで観賞可能なほかABC iviewで公式無料配信!→ iview.abc.net.au/show/secret-men-s-business

監督:ケン・キャメロン
出演:サイモン・ベイカー/ベン・メンデルソーン/ジョエル・エジャトン/マーカス・グレアム/ジェレミー・シムズ

(※以下、文中の紫色の太字タイトルをクリックすると該当作品の本コーナーでの紹介記事へとジャンプします)

 全豪TVドラマ界の大御所ケン・キャメロン監督(「ブライズ・オブ・クライスト」)の下、イケメンぞろいのオージー人気男優5人を配した2時間ドラマ。5人の中で誰が主人公というわけではなく、オープニング・クレジットでも“(ドラマの中での)登場順に”と前置きして一人ずつ名前がクレジットされるが、たまたま最初に登場するベン・メンデルソーン(「美しい絵の崩壊」「アニマル・キングダム」「オーストラリア」)が心の内などをより深く描写される役柄を演じている。5人の俳優は全員、何らかの形でハリウッドにも進出しているが、その後、日本でも放映された全米の連ドラ「堕ちた弁護士(The Guardian)」(01〜04)と「メンタリスト(The Mentalist)」(08〜15)両シリーズに主演し5人の中では海外で最も高い知名度を得るに至ったサイモン・ベイカー(「ブレス あの波の向こうへ」)が本作から唯一、同年度オーストラリア・アカデミー(AFI)賞(現AACTA賞)のTV映画部門・主演男優賞にノミネイトされた。残る3人、マーカス・グレアム(主要キャラではないが映画「ホールディング・ザ・マン—君を胸に抱いて—」に医師役で、別のTVドラマ「ハウス・オブ・ボンド」に弁護士役で出演)、ジェレミー・シムズ、ジェレミー・キャラハンは日本人にはさほど馴染みがないが、5人以外では「スター・ウォーズ」エピソード2(02)と3(05)のオーウェン・ラーズ役でお馴染みのジョエル・エジャトン(「アニマル・キングダム」「ケリー・ザ・ギャング」)が暴走族のメンバー役で登場していてそちらにも注目(※ジョエル・エジャトンの名字は“Edgerton”という綴りからか日本では“エドガートン”と記載されるが“エジャトン”が正解)。

手前にジェレミー・キャラハン、以下左からベン・メンデルソーン、サイモン・ベイカー、ジェレミー・シムズ、マーカス・グレアムが同窓生役を演じる
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 全編シドニーで撮影された本作が興味深いのは、今ではそれぞれに渋みを増したが99年のオンエア当時イヤミなほどにハンサムだった5人が同窓生という設定に加え(ジェレミー・シムズだけは世間一般的な基準ではイケメンの部類に入らないかもしれないが個性的な魅力がある)、こちらも5人が5人とも、演じる役柄が広告業界にいたり俳優だったりというあり得ないような成功者ばかりである点。つまり、あくまでも都会に生きるそれなりに洗練されたオージーたちを描いた作品でありながら、だからといってストーリーにリアリティがないわけではなく、むしろどんどん引き込まれていく展開が見事。5人のキャラが全員非常に際立っており、誰か一人だけが突出して目立つということもなく全員魅力的だ。ちなみに美形男優メインの2時間ドラマということで明らかに女性視聴者を意識してのことだろうが、ベイカー、メンデルソーン、グレアムの3人が泳いだ後で3人並んで全裸でシャワーを浴びるシーンがあり、3人ともプルンとしたお尻を披露。

 全くの余談だがオープニング・シーンで恩師の訃報をメンデルソーン演じるダグに伝える弁護士役として1シーンだけ登場する俳優までイケメンで、その弁護士役のピーター・ラズマスンは記者の友人でもある(ラズマスンは俳優としては芽が出なかったのが残念だが、現在はキャスティングの仕事でオーストラリア芸能界に携わっている)。

左からサイモン・ベイカー、ジェレミー・キャラハン、マーカス・グレアム、ベン・メンデルソーン
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 それぞれの登場人物のキャラクター分けもきちんとしており、マーカス・グレアムとジェレミー・シムズは自信に溢れる外交的な役柄、残る3人はどちらかというと控えめだが、グレアムとシムズの2人、そして残りの3人も性格のタイプは微妙に異なる。サイモン・ベイカーはドラマの中でも俳優役なのだが、俳優だからといって皆、私生活でも堂々とした存在感があるわけではなく内向的な俳優も実は大勢いるという点でリアリティをもたらしている。そんな役柄を自然体の演技で体現したことが、本作から唯一、ベイカーが豪アカデミー主演男優賞候補となった理由かもしれない。

左からマーカス・グレアム、サイモン・ベイカー、ベン・メンデルソーン
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 興味深いといえばもう一点、ベン・E・キングの名曲「スタンド・バイ・ミー」が使われた程度で、あとは全編、全豪映画音楽界の大御所スティーヴン・レイが本作のために手がけたちょっと物悲しくかつミステリアスなジャズ音楽、それも1曲だけが何度も繰り返しBGMとして流れる。通常、映画のサントラはシーンに合わせて同じ旋律でもさまざまなヴァリエイションが用意されるものだが本当にその1曲だけで通し、それが手抜きなどではなくちゃんと効果的なのも見事。

 単に男同士の友情を描いたドラマではなく、学生時代のようにじゃれ合って泳いだり、酒を飲みながら他愛のない話をしているようでいながら、成人男性が胸に秘めた思いなどが巧みに描写され、男性が観るとうなずけるシーンやセリフも多く、男性の心理はよく分からないという女性には男性のことをより深く理解できるヒントが見つけられる秀作だといえるだろう。

【セリフにおける英語のヒント主要キャラ5人が飲んでいるシーンでアンディ(サイモン・ベイカー)が皆に「結婚するんだ」と打ち明けると、ワーウィック(ジェレミー・シムズ)が「相手の女性は誰なんだい? っていうか相手は女性なんだよな? お前は“そっち系”の人間じゃないんだよな?」とジョークを言うセリフの最後の「お前は“そっち系”の人間じゃないんだよな?(You’re not batting for the other side?)」とは「ゲイじゃないんだよな?」という意味である。“batting”はオーストラリアで人気の高いスポーツ、クリケットでクリケット・バットを使ってプレイすることを指し、直訳すると「(味方側ではなく)敵側のチームのためにプレイしてるんじゃないんだよな?」という意味になり、別の表現ではクリケットに限定せずスポーツ全般を指して“You’re not playing for the other side?”とも言う。本人がゲイであることをカミング・アウトする場合も、単刀直入に“I’m gay”とは言わず“I play(またはbat)for the other side”と例えることもある。

Story

 恩師の葬儀のために久々に再会した同窓生の5人の男友達は、身寄りのなかった故人の書類などの整理のために故人の家に向かい、週末をその家で過ごすことにする。ビーチ沿いの一軒家で5人は泳いだりお酒を飲んでカード遊びをしたりしながら思い出話に花を咲かせるが、実は5人全員が記憶の彼方に消し去ったものの、“共犯意識”を持つ、とある悲劇が学生時代に起こっていた…。

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