少林寺拳法の世界大会で優勝のワーホリ・メイカー東野奈多(なだ)さん

教師として教えた高校は生徒の7割がヤンキー(笑)

東野奈多さん(26歳)
Nada Higashino

学生時代からモデルなどの芸能活動も行ってきた奈多さん
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「もともと英語も好きだったんですが、6歳から少林寺拳法を習っていて、大学受験に際しては少林寺拳法の全国大会や世界大会に多くの選手を輩出していた関西外国語大学にぜひ行きたいと思い、英文科に進学しました」

今年3月にワーキング・ホリデイ・メイカーとして来豪した奈多(なだ)さんは、“多才”を体現したような女性で、学生時代には学業の傍ら地元大阪のタレント事務所に所属しモデルやTVラジオなどの芸能活動も行い、幼いころから続けていた少林寺拳法は大学4年の時に全国大会1位、世界大会3位に輝きました。大学卒業後は高校教師となり3年間、大阪の高校で英語と家庭科を教え、部活では少林寺拳法の顧問を務めました。特筆すべきは、多才ではあってもそこに努力もちゃんと伴っている点です。

「小学生のころから芸能界に憧れ、当時は背も高いほうでしたので、小学校の卒業文集に『パリコレのモデルになりたい』と書いていたほどです(笑)。でも私の身長は中高では伸びず、『あんな子がモデルになれるはずない』ってちょっとしたいじめに遭い、見返してやろうとオーディションを受けたのが事務所に所属したきっかけです」

nada1810-22017年に開催された少林寺拳法の世界大会で優勝

 

少林寺拳法に関しても前述の通り日本1位、世界3位という華々しい記録で満足する人が多いであろう中、奈多さんはどうしても世界1位になりたいと思いました。

「少林寺拳法の世界大会が開催されるのはオリンピックと同じく4年に一度なんです。既に高校教師として働いていた2017年の世界大会に再度出場し、念願の世界1位を手にすることができました」

教員免許も大学時代に取得していたわけではありません。大学卒業後、1年間は芸能活動を続けましたが、教員である実姉に感化され、通信制の大学で学び直して免許を取得したのです。さらに晴れて教師として教えた高校というのが…?

「男女共学でしたが7割がヤンキー、3割が登校拒否の学校で(笑)、私が担任したクラスも毎日誰かが休むという状況でした。複雑な家庭環境や少年院に入っていた子もいて、生徒たちは同じクラスの子の名前も知らないほどでした。幸い私は少林寺拳法をやっていたおかげで男子生徒からなめられることもなく、私なりに一人ひとりの生徒と真摯に向き合ったつもりで、そのおかげか、ワーホリとして来豪する前の私の教師としての仕事納めである今年3月20日の終業式にはあれほど団結力のなかったクラス全員、誰ひとり欠席することなく登校してくれて、『オーストラリアでも頑張んなよ、先生!』って励ましてくれて。嬉しかったです」

現在はシドニーのカフェでウェイトレスとして平日フル・タイムで働きながら、シドニー各地で開かれる日本文化関連のイヴェントなどで少林寺拳法のデモンストレイションを行っています。

「世界大会に出場した時のような、これを成し遂げたいという明確な今後の展望はまだありません。私一人では何もできないですが、いつも周りに支えられ、縁や運に強く恵まれてきました。今後はその繋がりを大切に、私自身がいろんな人と人との架け橋になれたらと思っています」