シドニーにマリー・アントワネット登場!?

特別展「敬意~HOMAGE~
(6/29まで絶賛開催中)

 そのドラマティックな生涯が今なお後世の人々を魅了してやまない歴史上の有名人物、男女それぞれ12人ずつ計24人をテーマに、オーストラリア人フォトグラファー/アーティストであるアレクシア・シンクレア(Alexia Sinclair)が大胆かつ芸術的な解釈・表現方法により肖像作品化した24点の写真を一堂に集めた無料特別展「敬意~HOMAGE~」が6月29日(金)まで、サーキュラ・キー駅目の前のカスタムズ・ハウス地上階で絶賛開催中です。

手にしたケーキの皿が象徴的な「マリー・アントワネット」(Marie Antoinette 2005 by Alexia Cinclair)
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 アレクシア・シンクレアの作風は、日本でも人気のフランス人アーティスト、ピエール&ジル(Pierre et Gilles)のそれと同じように、セット(または後に背景画像との合成)の中に衣装を着せたモデル(男女とも全員美形!)を配置してポーズを取らせ、まずそれを撮影し、CGによる画像処理だけでなく、実際に現像した写真の上に手描きでイラストを重ねていくことなどによって絵画風の重厚さや独特の質感を出すという手法です。

ファンタジックな解釈の「エリザベス1世」(Elizabeth I by Alexia Cinclair)
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 作品のモデルとして選ばれた歴史上人物は、女性がアレクサンドラ・ロマノフ(ロシア皇帝ニコライ2世妃)、マリー・アントワネット、エリザベス1世、アリエノール・ダキテーヌ、ブーディカ、イザベル1世、バートリ・エルジェーベト(エリーザベト・バートリ)、クレオパトラ、スウェーデン女王クリスティーナ、エカテリーナ2世、アグリッピナ、オリンピアスで、男性がチャールズ2世、ヴラド3世(ドラキュラ公)、アレクサンダー大王、チンギス・カン、ハンニバル、ローマ教皇アレクサンデル6世、シャー・ジャハーン、ルイ14世、ピョートル大帝、マルキ・ドゥ・サド(サド侯爵)、ナポレオン・ボナパルト、ロレンツォ2世・デ・メディチの計24人。ほとんどが国王・女王(王妃)など“君主”ですが、“黒衣の伯爵夫人”として知られるエリーザベト・バートリや、マルキ・ドゥ・サドなど、政治とは無縁だった人物も含まれていて、ですがいずれもアレクシア・シンクレアならずとも大いにインスピレイションをかき立てられる“有名人”ばかりです。展覧会のタイトルにもあるように、シンクレアが、それら歴史上の人物たちに“敬意”を表して一連の作品を生み出したことは明らかで、必ずしも名君や英雄ばかりではなく、後世からは暴君・悪女として知られる場合もシンクレアが愛情を持って描き出していることが、作品から感じ取ることができます。

 同展覧会は、世界で2番目に規模の大きな写真祭である本年度ヘッド・オン・フォト・フェスティヴァル(Head On Photo Festival)公式参加展でもあり、5月4日には、会場であるカスタムズ・ハウスにてヘッド・オン・フォト・フェスティヴァルそのもののオープニング・パーティと、特別展「敬意~HOMAGE~」のVIPパーティがそれぞれ別々に開催され、記者も両方に顔を出しました(ちなみにカスタムズ・ハウスでは地上階でシンクレアの同展が、2階、3階でもそれぞれ異なる特別展の合計3展が同フェスティヴァル参加展として開催中です)。

ギリシャ復興主義様式の代表的な建物のひとつであるカスタムズ・ハウス
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奥の壁に見える額縁の絵がアレクシア・シンクレアの作品です
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homage1206-5.JPG アレクシア・シンクレアのVIPパーティは、おそらく展覧会のテーマを意識して、まるで古代ローマ帝国時代やルイ王朝時代の野外饗宴に居合わせたかのようなゴージャスかつデカダンなフード・アレンジで、食べ物が大テイブルにギッシリ並んでいました。巨大な船型のバスケットに入れられたパンや、こちらも大きな房のまま無造作に置かれた葡萄の紫色は、それ自体がバロック絵画の静物画を見るような美しさですし、ロースト・ハムや七面鳥を切り分けるサーヴィング・スタッフもいて、またしても凝ったパーティの演出に感心した記者でした。

 アレクシア・シンクレアの無料特別展「敬意~HOMAGE~」は6月29日(金)まで絶賛開催中です。日曜以外は深夜までオープンしていますので、ロマンティックな夜のデイト・コースとしてもおすすめです♪

Homage: ‘The Regal Twelve’ (2004-2007) ‘The Royal Dozen’ (2008-2010) – info

●会場:カスタムズ・ハウス内地上階(Ground Floor, Customs House, 31 Alfred St., Circular Quay)●期間:2012年6月29日(金)まで開催中 ●開館時間(休館日なし):月~金8AM~深夜、土11AM~深夜、日11AM~5PM ●料金:無料 www.sydneycustomshouse.com.au