「生徒さんが描きたい絵柄にオールマイティに対応します」

陶絵付け＆デキャール（ポーセラーツ）講師
（「シドニー・ポーセレン・アート・クラブ」主宰・講師）
渡辺恵理子さん（65歳）
Eriko Watanabe

「陶絵付けを習い始めて30年以上、講師としても23年と無駄に経験を重ねたもので（笑）、生徒さんの求めるものに幅広く応えられるようになりました。陶絵付けは基本となる伝統的なヨーロピアン・スタイルを筆頭に、アメリカンや現代風のポップなデザイン、そして私の場合、日本人であることを生かしての和柄などさまざまな流派があって、それらすべてを網羅して生徒の要求に応えることができる講師はごくわずかだと思いますが、オールマイティに対応できるようになったと思います」

　シティのタウン・ホールからバス一本で25分のトップ・ライド・ショッピング・センター敷地内の自宅ユニットで陶絵付けとデキャール（ポーセラーツ）の教室を開講する恵理子さん。父方も母方も陶器製造業者という家に生まれ、次男が幼稚園に入ったことをきっかけに東京の原宿陶画舎（※コロナ禍の2020年に閉校したが日本を代表する西洋陶絵付けスクールとして知られた）で陶絵付けを７年間みっちり学び、そのまま同校講師となり１クラス最高20人という規模を５〜６クラス担当したヴェテラン講師だ。講師となってからも本場ドイツ・マイセンの絵付け職人の中でも１％というレアマイスターに直接師事するなどして技術を磨いてきた。世界で通用する陶絵付け資格IPAT公認マスター・アーティスト及びマスター・ティーチャーでもあり、今年２月には全豪に支部を持つオーストラリア陶絵付け講師協会（APAT）の、シドニーが州都であるニュー・サウス・ウェールズ州会長に就任した。

APATの西オーストラリア（WA）州会長の目に留まり、２年に一度開催されるAPAT全国大会の来年度WA州パースでの大会に当たって、秋のテーマでのワークショップをと依頼されることになった恵理子さんの作品

「APATの会長職は担ぎ上げられての就任ですが（笑）、今年６月にはサウザン・ハイランドのミタゴンの施設に泊まり込みで２泊３日の研修会や、７月にはホーンズビーのお隣のソーンリー・ベイでのデモンストレイションを兼ねたイヴェントにも参加しました。私がAPATに入会した20年前は全豪で800人もメンバーがいたんですが、時間潰しに最適なスマホの普及からか趣味を持たない人も増え、今では200人弱にまで激減し、協会の存続を懸けて試行錯誤中です」

APAT会員を集めてのイヴェントでデモンストレイションを行う恵理子さん

　恵理子さん自身ももちろん陶絵付けアーティストでこれまでに多数の作品を制作してきているが、近年、ちょっとした心境の変化が。

「アーティストとしてよりも講師として教えることに喜びを感じるようになってきて、生徒さんを育てることが嬉しいです。私自身、もう結構な歳ですから（笑）、何人かの生徒さんを後押しして次世代の講師を目指す人のための独立をサポートしています。陶絵付け教室は専用の画材と、絵付けした器を焼くこちらも専用の電気窯さえあれば私のように自宅でも無理なく開講でき、電気窯は新品でも数千ドルですのでご自身のビジネスを起ち上げたいと考える人たちにとって、決して逆立ちしても手が出ない先行投資ではないと思います。長年の講師歴から教室で起こり得る状況を再現して実践面でも教室開講をお手伝いします」

　もちろん、あくまでも趣味として習ってみたいという人も大歓迎で、陶絵付けの最大の良さは、失敗したら描いたばかりの絵をティッシュで拭き取って何度でも描き直すことができる点にある。

「１枚の中皿を仕上げる３時間のチャレンジ・レッスンは材料費すべて込みで$100で、焼き上げた完成作品を後日、受け取りに来ていただく必要がありますが、その際にしつこく継続をすすめたりは一切しません（笑）。絵付けの最中、手や服が汚れることもなく、道具もすべてそろっていますので手ぶらで参加できる習い事として、一度ぜひお気軽にチャレンジ・レッスンを受けにいらしてください」

ジャパラリア巻末エッセイ「おばゲイDIARY」のイッチーさんが恵理子さんの体験レッスンを受けたジャパラリア公式YouTubeチャンネルの取材動画はこちら！

Sydney Porcelain Art Club

●5 Pope St., Ryde（Top Ryde Shopping Center敷地内） ℡: (02)9800-9801 / 0415-309-577　■受講日時は相談可（公式サイトより問い合わせを） sydney-porcelain-art-club.com

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