「輝く女性たち」:ヘア・サロン「カットラウンジ」オーナー・ヘア・スタイリストの小林由加子さん

産休を取らず子供を抱いてお店に出ていた日々

ヘア・サロン「カットラウンジ」オーナー・ヘア・スタイリスト
小林由加子さん(52歳)
Yukako Kobayashi

「もともと母が地元の奈良で美容室をやってたんですけど、私自身は美容師になろうとは全然考えていませんでした。短大の卒業旅行で訪れた初めての海外がオーストラリアですごく好きになり、『オーストラリアに住みたい!』と思いました。旅行中お世話してくれたツアー・ガイドさんが『美容師かシェフなら(当時)オーストラリアの永住権が取れるよ』と教えてくれ、大阪の美容専門学校で学び、卒業後は梅田の美容室で何年か働き1999年、25歳の時にワーホリで再来豪しました」

 チャイナタウンのマーケット・シティから目と鼻の先にあるアルティモのパワーハウス博物館から徒歩3分の便利な場所に、ヘア・サロン「カットラウンジ」を構えるオーナー・ヘア・スタイリストの由加子さん。美容師歴30年以上、同じアルティモの、現在地とは別の場所に最初にカットラウンジをオープンしたのも18年前の2007年にさかのぼる。

「当時、美容師で永住権を取るためにはまずオーストラリアのサロンにビジネス・ヴィザのスポンサーになってもらって4年働く必要があり、マーケット・シティの中に今もある中国人オーナーのヘア・サロンが運良くビジネス・ヴィザのスポンサーになってくれ、4年働き無事永住権を取得しました。オーナーもスタッフもいい人たちばかりで楽しかったんですが、オーナー・チェンジした途端、それまで歩合制だったのが固定給制になり給料が下がると同時に仕事に対する意欲も下がり、チャイナタウン時代の元同僚で独立した友達が開いた店に移り、しばらく面を借りてやってました」

通りに面した明るい路面店のカットラウンジ店内

 カットラウンジは2度移転しており、コロナ禍には店を閉め、ブロードウェイのサロンで3年間、やはり面を借りていた時期もあるが、由加子さん自身は休みなく働いた。

「アルティモの最初の場所でカットラウンジを12年やった後、チッペンデイルに移転したんですが、アルティモ最終日の営業が終わると同時に引っ越し作業、店内が散らかっていてもいいからといって予約してくださっていたお客さんがいたので一日も休まず、翌日には引っ越しの箱だらけの中でチッペンデイルの店で営業開始しました」

 美容師としてのモットーは確固たるものがある。

「お客さんが何よりの広告塔だと思っていますので、私の場合、“持ち”に一番力を入れています。カットに来てくれた日だけでなく、家でもお客さんが自分で再現できる髪型を心がけ、それも、長く持てば持つほどいい。なので私のお客さんは毎月来る人はほとんどおらず、年に3〜4回という頻度が最も多いです」

 12年前に趣味で始めた茶道から着物にも興味を持ち本格的に学び、着付け歴も8年、カットラウンジでは着付けと和装のヘアメイクも可能だ。現在は美容師養成講座の講師になるべくTAFEで勉強中。私生活では2006年に結婚した香港系オージー男性との間に生まれた一人娘が現在16歳。

「コロナ禍にブロードウェイでやっていた時、オージーのお客さんから“Welcome back, Yukako!”と言われてハッとしました。カットラウンジをオープンしてすぐ妊娠・出産した際も産休を取らず子供を抱いてお店に出ていましたが、とにかく忙しくて私はカットだけして後はスタッフに任せるような日々でした。それがブロードウェイでは私がシャンプーからすべてやるようになり、当然のように一人ひとりのお客さんと話す時間が増えました。私がバタバタしすぎたせいで寂しい思いをしていたお客さんもいたんだと思うと涙が出そうになり反省しました。今の店舗では面貸ししている美容師さんがいますが私が雇っているわけでないため、私のお客さんは最初から最後まで私が対応しています。今後も、お客さんがついてきてくれている限り辞められないというある種の使命感の下に、楽しく続けていきたいと思います」

Cutlounge

*料金一例:レディス・ドライカット$70〜、メンズ・ドライカット$50〜
●C1/372 Wattle St., Ultimo(パワーハウス博物館から徒歩3分) ℡: 0404-921-488(完全予約制) インスタグラム:cutloungeprivate

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