「しっかり芯を持って真っすぐ進んでいけば
必ずそこに到達できると信じています」
レストラン「寿庵」オーナー・シェフ
石黒アンナさん(37歳)
Anna Ishiguro
「小さいころから料理するのは好きでした。父は中学の教師だったんですが、成人した元教え子たちがしょっちゅう遊びに来るような家で、夜中にいきなり『今から飲みに行ってもいいですか?』ということも普通でした(笑)。母もですが父も料理が得意で魚をさばいたりお寿司を握ったりもできることから、私も自然に」
レッドファーンにあるお洒落な丼ものとさまざまなお茶が楽しめるレストラン「寿庵」のオーナー・シェフ、アンナさん。父親が美術、体育、そして社会科の教師という多才ぶりだった血を多分に受け継いだのでしょう、料理の道に進む前のアンナさんも、高校生の時に熊本市の実家から単身移り住んだ福岡市でタレント事務所に所属し、17歳のころからクラブ・シンガーや地元ラジオ曲のDJとしてタレント活動を行いました。ほどなくアンナさんの歌声が認められ上京、19歳から二十歳までの1年間をAvex所属のタレント候補生として過ごしました。それだけでなく、ウェブ・デザイナーとしての顔も持ち、来豪後もウェブ・デザインと飲食業界の両方で働いていました。
「Avexの第1期候補生の5人の中の一人に選ばれ、朝から晩までレッスンでした。私以外はほとんどデビューしたんですが、私はダンスで挫折(笑)。歌っている時が一番幸せと言い切れるほど今でも歌は大好きなんですが、芸能界は闇の部分も多く、精神的にやられちゃって…。ウェブ・デザインに関しては、興味があったわけじゃないんです。当時はウェブサイトって今ほど気軽に開設できず、業者に頼むとびっくりするくらい高くて手が出ないという人が音楽仲間に多く、『じゃあ私が作るよ』ってその場のノリで言って、独学で一から学びました」
驚くべきことに、歌以外はウェブ・デザインも料理も専門の学校で学んだわけではないから、まさしく多才です。昨年10月にオープンした寿庵も、1年の間に28席という店内がランチとディナーを合わせ1日150人近くの来客で賑わう人気店に成長させました。
「お茶以外は丼もの4品とデザート2品だけというメニュー構成なんですが、こだわるところにはちゃんとこだわっていて、仕込みも手間をかけていますし、サーヴィス面でも常々スタッフに私の気持ちや思いを伝えています。スタッフには厳しいほうですが(笑)、理由をきちんと説明して分かってもらうよう努めています。スタッフもそんな私のことを理解してくれて、お店が終わった後で一緒に一杯飲んだりする時には仕事以外の話に花を咲かせています」
アンナさんのセンスが反映された寿庵の和牛ロースト・ビーフ丼($24)
12月1日にはオージーたちにもスキー・リゾートとして人気の高い長野県白馬で4カ月限定のポップ・アップ・レストラン「寿庵和牛ステーキハウス」(juanhakuba.com)もオープンし、大忙しの毎日です。
「寿庵をオープンして作った1年分の売り上げを全額投資しますので、絶対に成功させなきゃと必死です(笑)。1年前のオープン当初は死にそうなほど大変で、3カ月で9キロ痩せました。大切なのは“気持ち”の強さだと思います。何をやるにしても人間、できないことはないと。うまくいかないなら、どうしたらうまくいくか常に頭を柔軟にすること。しっかり芯を持って、真っすぐ進んでいけば必ずそこに到達できると信じています」
Juan
● Shop 5, 94A Pitt St., Redfern ■ランチ(木〜日)12pm-3pm、ディナー(水〜日)6pm-10pm 要予約(オンラインでのみ受付):goo.gl/kbyG5p ◇酒類ライセンスあり
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