2冊目の小説「猫のお告げは樹の下で」出版の青山美智子さん独占インタヴュー!

自分はダメだ、何をやってもうまくいかない」
って自己暗示かけてる人たちに読んでほしい本」

小説「猫のお告げは樹の下で」絶賛発売中!

独占インタヴュー
小説家・青山美智子さん(48歳)
Exclusive Interview with Michiko Aoyama

読者プレゼント!(3名様)
青山美智子さんの小説
単行本「猫のお告げは樹の下で」
(※応募の詳細は「月刊ジャパラリア」2018年11月号をご覧ください)

michiko1811.JPG 2003年のジャパラリア創刊号より巻末に大人気エッセイいろはにポケットを連載中の小説家青山美智子さんが9月14日2冊目となる小説猫のお告げは樹の下でを日本の大手出版社宝島社より出版日本全国の書店やAmazon.co.jpなどで発売中です昨年47歳にして念願の小説家デビューを果たしてからわずか1年で2作目発表という作家として絶好調な青山美智子さんに話を聞いてみました

本誌:青山ちゃん(※青山美智子さんと記者は25年来の付き合い)、まずは2冊目の小説「猫のお告げは樹の下で」の出版おめでとう! デビュー作「木曜日にはココアを」からちょうど丸1年、デビュー作は出たもののそれっきり消えていく作家も多い中、こうして2冊目が世に出た今の心境は?

青山:ありがとうございます。やっと地に足が着いたというか、現実味が帯びてきたというのが正直なところです。デビュー作が出た時は、書店に並んでいるのを見ても「これは本当に起きていることなのかな、私の妄想じゃないのかな」と自分を疑っているような感じがあって。だから「木曜日にはココアを」と同じ版元の宝島社さんから「2作目をお願いします」と言っていただいた時は嬉しかったですね。でも投稿時代が長かったせいか、しばらくは小説を書くことを「仕事」って思えなかったんです。2作目を書き終えてようやく自分にも周囲にも仕事って言えるようになりました。

本誌:デビュー作同様、本作も下は小学生の男の子から上は60代後半の男性までさまざまな、でも誰の身近にもいそうな7人の男女を描いた7つの短編から成り、1話完結なのに全編を通して読むと微妙にリンクしている。しかもなんとデビュー作で重要な役どころを演じた登場人物が一人ならず何人も、今回は完全なる脇役とはいえ再登場していますよね。デビュー作から話が繋がっているわけではないので本作は“続編”ではないでしょうが、一種の“姉妹作”と考えてもいいでしょうか?

青山:確かにそういう要素もあるかも。前作を読んでくださった方が「あ、これは」と気づいたら面白いなとは思いました。ただ、今作を先に読まれる方もいらっしゃるでしょうし、あまり狙いすぎないようにという点は気をつけてて。あとは、再登場した面々って私が個人的に好きなキャラクターなんでしょうね。打ち合わせの段階では予定していなかったんだけど、原稿を書いているうちに出てきてしまって、担当の編集さんに何も言わないでそのままアップしちゃった(笑)。原稿を読んだ編集さんも笑ってOKくださいました。

本誌:本の表紙をデビュー作同様、今回も有名なミニアチュア作家兼写真家の田中達也さんに依頼したのはそのあたりにも意味があったり?

青山:いえ、田中さんに関してはこちらの意味や意図などおこがましい!(笑) 田中さんのアートは本当に素晴らしいですよね。田中さんは世界中で人気があってとてもお忙しい方なので、無名の新人作家のデビュー作を手がけてくださったというだけで奇跡ですから私自身は2作目もお願いできるとは思っていなかったんです。もちろん、編集さんと「また田中さんに表紙を依頼できたらいいですね」という話はしましたが、前作が出た時に「2年先まで予定が決まっている」と聞いていたので、じゃあ2年後にまた田中さんにお願いできるような作家になれるよう、頑張るぞ!と。そしたら、4章を書き終わったあたりで編集さんから「グッド・ニュースです。田中さんが受けてくださるそうです」と知らされ、喜びより驚きのほうが先でした。しかもまだ原稿を全部書き終わっていなかったし。田中さんには、その時点では1章と2章をお送りして読んでいただいたらしいのですが、私は全然知らなかった。田中さんは原稿をすごく丁寧に読み込んでくださるんです。私の小説が一度田中さんの中を通って、あのミニアチュア・アートの世界が生まれることが本当に幸せです。

mikuji1811.jpg青山美智子・著「猫のお告げは樹の下で」(宝島社刊/単行本/¥1,404)

本誌:全7話に共通しているのは、それぞれの登場人物が閑散とした住宅街の路地裏にひっそりとたたずむ神社をふと訪れ、そこでミクジなる猫からお告げが書かれたタラヨウの葉を受け取るという設定。1話目だけでなく7人全員がその“シーン”を必ず体験しなければならないとなると、読者にマンネリだと感じさせないようにするための書き分けは大変だったんじゃないですか?

青山:そこに気づいてくださって嬉しいです。連続ドラマとかだったらお決まりのシーンは盛り上がるところなんだと思うけど、文章で同じ表現ばかりは使えないというハードルはありました。登場人物たちがミクジを初めて見た時の感想や描写などは、それぞれの性格を踏まえて自然と違う描写になるんですけどね。例えば瞳の色が「金色」「黄金色」「シャンパンゴールド」と言い方が変わるとか、ミクジがちょっと笑うのも、人によって優しい微笑みに見えたり、嘲笑されたと腹を立てたり。

本誌:本の帯にもある通り、どの話も読み終わった時にふわっと心が温かくなりますが、私が個人的に好きなのは第6話。青山ちゃんは、昔から一貫して「夢は小説家になること」と語っていましたよね。やっと小説家デビューできた昨年、青山ちゃんは47歳、きっとくじけそうになったことも何度もあったでしょう。だからこそ私には6話目に出てくる漫画家志望の、そして今その夢を諦めようとしている35歳の主婦に青山ちゃん自身の姿が重なりました。

青山:好きと言っていただけて安心しました。実は私が今作で唯一、原稿を書いていてしんどかったのが6章なんです。自分に一番近いから一番ラクに書けると思いきや、近親憎悪というのかなあ、最初は主人公の千咲をどうしても愛せなかった。いったん(原稿用紙換算で)10枚ぐらい書いて、全部削除して改めて書き直したりということが何度もありました。もしかしたら、千咲が抱えていた悩みを小説として書くにはまだ時期尚早だったのかもしれません。でも本になってから読み返してみて、やっぱりこの作品に千咲は入れておきたかったからよかった、と思いました。

本誌:本書の中で作者・青山美智子が読者に伝えたかった“お告げ”(笑)というかメッセージはズバリ?

青山:帯の後ろにもある「あなたは運がいい」、これに尽きます。「自分はダメだ、何をやってもうまくいかない」って自己暗示かけてる人が多いなあと日々感じるから。そういう人ほど、せっかくいい運がきてるのに気づいていないように思えるんです。例えば、今これを読んでくださってる方って、ジャパラリアを手にして日本語を読めるだけの体力と知力ときっかけを持ってるわけですよね。そういう環境にいるってすごく運がいいことなんですよ。「運がいい」って努力してないみたいにとらえられちゃうかもしれないけど、努力してない人に運は絶対回ってこないし、つまり今この状況にいるあなたはこれまでよく頑張ってきた、だから運もついてきてる、大丈夫!ってことだと思うんです。

本誌:これは本作とデビュー作だけでなく、ジャパラリア本誌に15年前の創刊号から毎月エッセイを連載してくれている青山美智子の文章に慣れ親しんでいる愛読者なら分かるでしょうが、「青山美智子の書く文章に悪い人は出てこない」ということについての考えは?

青山:前作でもネットの感想とかでよくそう言っていただいて、それは大変光栄なんですけど、いつも「そうかなあ?」と思ってるんです、実は。自分では結構イヤな人物像も書いてるつもりなんですよ。ただ、「良い人」「悪い人」っていう線引きって難しいですよね。善悪って感情のことだし、誰がジャッジするんだ?っていうところで変わってくるし。そういう意味では、分かりやすい完全な「悪い人」っていう役を作らないようにしてるところはあるかもしれません。デビューする前は新人賞の選考委員の方やプロの編集者に「あなたの小説にはドロドロが足りない」と言われることが多くて困ったなーと思っていたんですけど、今は少なくとも編集担当さんが「僕はこういう毒のない小説があってもいいと思う」と言ってくださるので、そこは気持ち的にすごく楽になりました。

本誌:本作に限らず小説のアイディアはどういうところから?また、青山ちゃんはもう20年以上も前になりますがワーホリ来豪、その後、シドニーで働いた会社にビジネス・ヴィザのスポンサーになってもらい合計2年間のオーストラリア生活を経験しています。本作の舞台は東京ですが、小説家・青山美智子にとってオーストラリア時代の経験は影響していると思いますか?

青山:アイディアは、「考えよう!」と思うとさっぱりわいてこなくて、ふとしたはずみでポンと出てくる感じです。これはもう理屈じゃないというか、法則もないし、うまく説明できないんですけど。私は映像で出てくるタイプで、映画やドラマの予告みたいにぱっとワン・シーンだけ浮かんできて、それを繋げながら文章に落としていく感じ。あとは登場人物に勝手に動いてもらう。書きながら、登場人物の心情や行動に「へえ、そうだったんだ」って思うことも多いです。オーストラリアでの経験は、多大に影響していると思いますね。実際に物語にオーストラリアが出てこなくても、あの時代に育ててもらった感覚的なことは表れている気がします。

本誌:シドニーで頑張る本誌読者にメッセージを。

青山:インターネットの普及で、私がシドニーに住んでいたころよりも日本との距離はそんなに感じないと思うんです。でもだからこそ、シドニーならではの生活をしっかり味わって楽しんでください!

猫のお告げは樹の下であらすじ】失恋のショックから立ち直れないミハルは、ふと立ち寄った神社で、お尻に星のマークがついた猫から「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。宮司からその猫がミクジと呼ばれていることを知り、「その“お告げ”を大事にした方がいいですよ」と言われたミハルは、西向きのマンションを買った少し苦手な叔母の家を訪れ…(第1章)。中学生の娘と仲良くなりたい父親(2章)、なりたいものが分からない大学生(3章)、家族をないがしろにしたと後悔する頑固おやじ(4章)、転校先でクラスに馴染めない男の子(5章)、20年来の夢を諦めるべきか迷う専業主婦(6章)、自分のしたいことに臆病になった占い師(7章)、とそれぞれ思い悩む人たちの世界が、なんでもない言葉をきっかけにガラリと変わっていく。猫のお告げが導く7つの優しい物語。

Kagajo'12-05

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