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臓器移植病棟を舞台に描かれるさまざまな人間模様「パルス」

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パルス
(連続TVドラマ/1話60分・全8話)

Pulse
(オーストラリア2017年TV放映、日本未公開/MA15+/医療ドラマ)

監督:ピーター・アンドリキディス(1・2・7・8話)/ジェニファー・リーシー(3・4話)/アナ・コッキノス(5・6話)
出演:クレア・ヴァン・ダー・ブーム/オーウェン・ティール/リアム・マッキンタイア/スージー・ポーター/アーカ・ダス

 

 日本語で「脈拍」という意味のタイトルが示す通り、臓器移植病棟を舞台にした1話60分・全8話の医療モノ連続TVドラマ「パルス」は、ABCにて2017年7月から9月にかけて全豪オン・エアされた。ヒロインに「Hawaii Five-0(ハワイ:ファイブオー)」シリーズ(※全米の人気連ドラ)での主人公の元妻役が有名なクレア・ヴァン・ダー・ブーム、一方こちらも「スパルタカス」(※同)の2~3シーズンで主人公スパルタカス役を射止めたリアム・マッキンタイアという日米でもその名を知られる2人のオージー男女優が出演しているほか、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズ(※同)のアリザー・ソーン役が名高いヴェテラン俳優オーウェン・ティールを英国から招き、上記3人いずれも同じ病棟で働く主要キャラクターのドクター役を演じる。撮影はほぼ全編、シドニー西郊パラマタ駅から徒歩10分ほどの位置にある元歯科クリニックで撮影当時は半ば廃屋と化していた2階建ての建物を大病院に見立てて行われた(ドラマの中で病院の外観として何度も出てくる総ガラス張りの立派なビルは、なので全く別の建物)。

主要キャラを演じる俳優たちが一堂に並んでの宣材写真(中央手前が
クレア・ヴァン・ダー・ブーム、その右隣がリアム・マッキンタイア、
左から3人目がスージー・ポーター、その右隣がオーウェン・ティール)

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 物語は、自身も腎臓移植手術によって一命を取り留めた経験を持つフランキー(クレア・ヴァン・ダー・ブーム)が、ドクターとして臓器移植病棟で働き始める初日から始まる。ドクターとはいっても新米なため、失敗のたびに先輩ドクターたちからこっぴどく叱られながら、さまざまな経験を積んで成長していく姿を描く。実はこのストーリー、本作のプロデューサー兼脚本家のひとりであるクリス・ワイルドと彼女の実娘メル・ヒルの実体験に基づいたもので、本作にクリエイターとして名を連ねるメル・ヒルはフランキーと同じようにかつて腎臓移植手術を受け、現在は本当に医者として活躍しているというから驚き。フランキーがドラマの中で身に着けているネックレスは、ペンダント・トップが腎臓の形をしたティファニーのもので、メル・ヒルの私物を撮影で借用したとのこと。メル・ヒルにとって“腎臓”は、それほど彼女の人生において思い入れのある大切な存在なのだろう。

意識不明の状態で運ばれてきた患者に冷静に
対応するフランキー(クレア・ヴァン・ダー・ブーム)

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新米ドクターであるフランキー(クレア・ヴァン・ダー・ブーム:右)のことを
優しくかつ厳しく見守るドクター・バージャー(オーウェン・ティール)

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 前述の主要キャラ3人の演技力は申し分なく、それ以外の俳優陣も演技派ぞろいで、中でも経験豊富な女性執刀医カッターを演じるスージー・ポーターの、男顔負けのクールかつプロに徹した女医ぶりの演技が光る。全話が繋がっていながらエピソードごとにそれぞれ異なる症状を患う入院患者がフィーチャーされ、そのバックグラウンドもさまざまというのはいかにも多民族国家オーストラリアならではで、それらゲスト俳優たちもドラマに説得力を持たせている。エピソードによっては命を落としてしまう患者も出てくるし、オペのシーンは緊迫感も満点で、思わず見入ってしまう。全体的にシリアスなドラマだが、フランキーが同じ病棟の、自分と同様新米ドクターであるほかの2人と3人でシェアしている一軒家での生活描写はいかにも若いオージーたちらしく和気あいあいとしているし、主要キャラが絡むロマンスもちゃんとあるので、そのあたりも楽しめる要素。フランキーのシェアメイトの一人でゲイのドクター、タブ役のアーカ・ダス、そして別の若手女性ドクター、タニア役のパラヴィ・シャーダの2人はどちらも「LION/ライオン ~25年目のただいま〜」(16)に主人公が通う大学の友人役で出演しており、「LION」での出番は少なかったが本作では2人ともそれぞれ主要キャラの一人としてちゃんと見せ場もある。

ともに同じ臓器移植病棟で働く新米ドクターであるだけでなく、
フラットメイトとして一緒に住む友人同士でもあるフランキー
(クレア・ヴァン・ダー・ブーム:左)とルー(アンドレア・デメトリアデス)

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緊迫感満点のオペのシーンも随所に盛り込まれている
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 ちなみに全編の衣装デザイナーを務めたのはジャパラリアのグルメ・コラム「オージー・レシピ」でお馴染みのネヴィちゃんことネヴィル・カー(「ハウス・オブ・ボンド」)で、ネヴィちゃんはメルボルンのデュオ、シーヴェラ(Seavera)がドラマの内容に歌詞を合わせて作ったとも思える印象的な主題歌「ケイヴィング(Caving)」とともに流れるオープニング・クレジットに名を連ねている。ネヴィちゃんからのコメントは次の通り。

「ドクターたちが病院では常に白いガウンを羽織っているというのは昔の話で今はオペの時以外は私服だから、それでも病院という特殊な空間にあってどれだけ全体の衣装のバランスを合わせるかに気を配ったつもりだよ。患者の病衣もそれぞれの設定によって微妙に色合いを変えていて、例えば重病患者役にはやや暗めの病衣を、比較的軽い病状の患者は明るめといった感じで使い分けてみたからそのへんも注意して観てもらえると嬉しいな」

【セリフにおける英語のヒント】発熱しているフランキー(クレア・ヴァン・ダー・ブーム)に、先輩医師のエリ(リアム・マッキンタイア)が「熱があるじゃないか!」と言ったのに対しフランキーが「ありがとう」と答えたのは、全く同じセリフでも状況によっては異性に対して使う褒め言葉「君はホットだ(You are hot)」だと(わざと)解釈しての返事。男性だけでなく女性からも男性に対して「あなたはホットだわ」と言える。

Story

 もともと金融業界で働いていたが末期腎不全に陥り腎臓移植手術を受けて一命を取り留めたフランキー(クレア・ヴァン・ダー・ブーム)は、それを機に人命を救う医者になる決意をし、大学で医学を修め、晴れてドクターとなる。彼女の命を救ってくれた執刀医で大ヴェテランのドクター・バージャー(オーウェン・ティール)と同じ病院の臓器移植病棟で働き始めた初日、フランキーが移植手術の後遺症によって患者が持つ細菌に空気感染しやすいことなどを理由に、バージャーはフランキーにほかの部署へ移るよう諭すが…。

「パルス」予告編

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