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原作・監督・主演いずれも女性の爽快感100%の青春映画「アリブランディを探して」

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アリブランディを探して
(※映画自体は日本未公開だが日本語翻訳本が「アリブランディを探して」という邦題で岩波書店より発売)

Looking for Alibrandi
(オーストラリア2000年公開、日本未公開/103分/M15+/ドラマ)

監督:ケイト・ウッズ
出演:グレタ・スカッキ/アンソニー・ラパーリア/ピア・ミランダ/エレナ・コッタ/リーアナ・ウォルスマン

 

 イタリア系オージー女性作家メリーナ・マーケッタが92年に出版した同名ベスト・セラー小説の映画化で、マーケッタ自らが脚本を手がけ、こちらも女性監督ケイト・ウッズの劇場映画デビュー作品となっただけでなく、同じくイタリア系オージー女優ピア・ミランダがタイトル・ロールの主人公ジョセフィン(ジョージー)・アリブランディ役で銀幕デビューを飾った。

アリブランディ家3代の女性たち
(左からグレタ・スカッキ、エレナ・コッタ、ピア・ミランダ)

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 原作、監督、主演の3人がいずれも女性であることに加え、映画はイタリア系3世としてシドニーで生まれ育った女子高生ジョージーが自らのアイデンティティを求めて成長していく姿を主軸に、だがタイトルにもある彼女の名字「アリブランディ」とはジョージーのことだけを指すわけではなく、シングル・マザーとしてジョージーを育てたイタリア系2世の母クリスティーナ(グレタ・スカッキ)、その母でジョージーの祖母に当たる生粋のイタリア人カーティア(エレナ・コッタ)の3代にわたるアリブランディ家の女性が含まれる。前述の通り物語はジョージーを中心に繰り広げられる「青春映画」なのだが、あっと驚くクライマックスによってタイトルの「アリブランディを探して」というのが最終的にはこの3人のことであるというのが分かるストーリー展開が魅力。同年度オーストラリア・アカデミー(AACTA)賞(元AFI賞)主要8部門9候補となり、作品賞、主演女優賞(ピア・ミランダ)、助演女優賞(グレタ・スカッキ)、脚色賞(メリーナ・マーケッタ)、編集賞の5部門受賞に輝いた。残念ながら受賞は逸したものの監督賞にはウッズが、助演女優賞にはイタリアから招かれて来豪参加の大女優エレナ・コッタもグレタ・スカッキと同時ノミネイションを受けていたから、上記5人の女性全員が高く評価されたことになる。

ジョージー(ピア・ミランダ)は、17歳にして初めて会った実の父
マイケル(アンソニー・ラパーリア)を前に戸惑いを隠せず…
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 映画は、毎年トマトの収穫期に親戚一同が一軒の家の庭に集まって1年分のトマト・ソースを作る、イタリア系移民の恒例行事で幕を開ける。ジョージーが「全国イタ公の日(National Wog Day)」と呼んでバカにしているこのオープニング・シーンでは、大勢いる登場人物全員がトマト・カラーである赤をどこかしらに身に着けていて、それはまるで真っ赤なトマト色に染まった、つまり良くも悪くもそこから抜け出すのは至難の業であるというイタリア系社会の結束の強さを暗示していて非常に効果的。オープニングとエンディング両方で流れる挿入歌は、1959年のオリジナルが日本でもカヴァーされるほどの大ヒットになった陽気なカンツォーネ曲「月影のナポリ(ティンタレラ・ディ・ルナ)」で、これも抜群の選曲といえる。ほかにも本作の公開当時人気を博していた多数のオージー・バンドたちの曲が挿入歌として使用されている。

ジョージーと犬猿の仲のクラスメイト、カーリー(リーアナ・ウォルスマン)
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 17歳のジョージーを演じたミランダは本作の公開当時、既に実年齢27歳だったが誰が見ても完璧な女子高生になりきって原作から抜け出てきたかのようなジョージーを体現し、映画を成功へと導いている。

 一方で堂々のトップ・ビリング(※映画の最初に名前がクレジットされること)を左右並列で飾るのは当時まだ新人だった主演のミランダではなく、ともにハリウッドでも活躍するグレタ・スカッキとアンソニー・ラパーリアの2人。イタリア人の父と英国人の母を持つイタリア出身のスカッキは10代の数年間を英豪で過ごしたことからイタリア語も英語もネイティヴで、若かりしころはハリウッド映画「推定無罪(Presumed Innocent)」(90)でハリソン・フォードの浮気相手役を演じるなどバリバリのブロンド美人女優として人気を博した。95年にオーストラリア国籍を取得、本作では女子高生の娘を持つシングル・マザーの役柄とあってメイクなどもごく控えめで、それがまたリアリティを醸し出し、助演女優賞受賞文句なしの演技力と存在感。

ジョージー(ピア・ミランダ)が憧れる男子高生ジョン
(マシュー・ニュートン)

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 ジョージーの祖母役のエレナ・コッタは主演作「シチリアの裏通り(英題:Castellana Bandiera Street)」(13)によりヴェネツィア国際映画祭主演女優賞を受賞したイタリア映画界の大御所で、同作品が第26回東京国際映画祭参加作品に選ばれた2013年にプロモーションのため日本を訪れ、日本でも話題を集めた。

 また、少女雑誌の表紙を飾るモデルで全校生徒の憧れの的でありながら、お高くとまった鼻持ちならないお嬢様のためジョージーと犬猿の仲のクラスメイトであるカーリー役のリーアナ・ウォルスマンは、本作の2年後、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(02)のザム・ウェセル役に抜擢され世界的にその名を知られる存在に。

イケ好かない男子高生だと思いつつジョージー(ピア・ミランダ)にとって
気になる存在でもあるジェイコブ(キック・ガリー)

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 女性中心の作品とはいえ男優の見せ場もちゃんと用意されており、ジョージーが17歳にして初めて会う実の父マイケル(ラパーリア)、やはりジョージーの2人のボーイフレンドである対照的な男子高生――一人はお坊っちゃまのジョン(マシュー・ニュートン)ともう一人は父子家庭で育ったジェイコブ(キック・ガリー)などがそれぞれ重要な役どころで登場、3人ともオージー男優でしっかりと脇を固めていて、ラパーリアもバックグラウンドはやはりイタリア系。

 アリブランディ家3代のイタリア系女性はいずれもたくましい。それは決して図太いというわけではない。ちょっと感覚は異なるが、同じように海外で暮らす日本人にもその強さを分けてくれるような、爽快感100%の映画である。

【セリフにおける英語のヒントその1本作に何度も出てくる言葉「ウォグ(Wog)」とはイタリア系やギリシャ系移民の多いオージー英語ならではのスラングで、地中海沿岸諸国や中東出身者に対する蔑称。複数形は「ウォグズ(Wogs)」。

【セリフにおける英語のヒントその2ジョージー(ピア・ミランダ)が母クリスティーナ(グレタ・スカッキ)に「お友達と半分裸みたいな格好でボンダイをうろつき回って、どういうこと!?」と叱られるシーンのボンダイは、海外からの観光客にも名高いボンダイ・ビーチがあるサバーブ名のこと。

【セリフにおける英語のヒントその3各校の男女高校生たちが着飾って参加する夜のダンス・パーティのシーンで、パーティ会場を去るグループの男子生徒の一人が「(この後)オックスフォード・ストリートに行こうぜ」と言うセリフがある。オックスフォード・ストリートはシドニーの中心街シティに隣接するダーリングハーストに始まりパディントン、ボンダイ・ジャンクションまで続く長いメイン・ストリートだが、ここではシドニーで最もナイトクラブが密集した夜の繁華街ダーリングハーストを指す。ストレートの男女にも人気だがもともとはゲイたちで賑わったエリアで、毎年開催される世界的に有名な同性愛者の祭典シドニー・ゲイ&レズビアン・マルディ・グラのパレイド・コースとしても知られる。

【映画に登場する実在のオージーブランド】ジョージー(ピア・ミランダ)がアルバイトしているファスト・フード店は、ポルトガル系オーストラリア人が始めたポルトガル風チキンを使ったバーガーなどが売りの店「オポルト(Oporto)」で、実店舗にて撮影、ロゴが入った制服などもそのまま使用された。オポルトは日本には進出していないが全豪100店舗以上のほか英米にも展開している。

Story

 イタリア系3世としてシドニーに生まれ育った17歳のジョージー(ピア・ミランダ)は、イタリア系移民たちの結束を半ば冷ややかに見つつ、それなりに女子高生活を満喫している。そんなある日、母クリスティーナ(グレタ・スカッキ)が17歳の時に自分を出産した相手で、生まれてこのかた一度も会ったことのない実の父マイケル(アンソニー・ラパーリア)が目の前に現れ…。

「アリブランディを探して」予告編

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